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｢セ、センラさん？人の量がえげつない…｣
｢何を今更……｣
本当に彼女は今更何を言っているのだろう。
1stワンマンライブツアーである始めてのライブですらキャパ5000人を超えるライブを大成功に収めたと言うのに何が人の量だ。
今回のキャパは8000。
正直、埋まるかと言う不安はあったが、歌い手レイの出演を期待している｢レイナー｣の応募もあってチケットはSOLD OUT。即完売。
驚きも隠せないでいたが、それが今の俺とAの実力だと思うと中々に感慨深いものがあった。
歌い手仲間にも相当協力してもらい、更には何度も何度も労いの言葉を掛けてもらったものだ。
｢…センラさん、｣
突如、ポツリと零された俺の名前にドキリとして彼女の黄色いカラコンの入った瞳を捉える。
｢いつも、恥ずかしくて言えないけど…ありがとう。あの時センラさんから告白してくれた時本当に嬉しかった。私が何度も何度も泣いてる時だって、お前が一番や、って言ってくれて何度も救われた。本当にありがとう。…大好き｣
冬の夜空のような真っ黒な髪にシトリンのような瞳がよく映える。
彼女は高校生の時に両親を亡くした。
彼女が中学生の頃に両親は離婚。彼女も、両親も互いの事を愛してはいたが彼女は両親の｢一番｣にはなれなかった。
母親は新しくできた彼氏が一番で、Aは二の次。
父親はAの事を考えてはいたが、一番に思ってはいない。
故に彼女は愛情に飢えていたのだ。
｢はぁ…俺の彼女マジ可愛い…有り得へん……可愛すぎる…。俺の一番はAでずーっと変わらへんよ。俺も大好き｣
｢…ありがとう｣
顔を真っ赤にさせながら下を向き礼を言う彼女がまた愛おしくて堪らなくなる。
真白な雪のような肌に、真赤な林檎のような頬。
｢あっ、もうそろそろ始まるで。A……ううん。レイ。頑張ろな｣
｢当たり前！思いっ切り歌で出す！それだけ！｣
そして俺はまた彼女の殻が剥ぎ取られるその瞬間を目にすることになる。
これが俺達二人の始まりだった。
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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (
レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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