＊ ページ30
俺の失敗がはじまりだった。
彼女の死は、恋のはじまりだった。
最後のキスは＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「あったかいな…………A、」
酸素が吸いにくくなる感覚を感じながら、4年前と同じ場所に1人で立っていた。1人で、近づく死を息苦しさとともに感じていた。
たぶん今日が俺の命日になるだろう。
Aの死後、2枚の手紙が枕の下から見つかった。1枚は、自分の意思で外に出ることを望んだこと。2枚目は、俺宛だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
坂田くんへ
まず、私と出会ってからたくさん迷惑をかけてしまいました。本当にごめんなさい。
坂田くんと出会ってから、私の人生は変わりました。約1年間、これまでにないくらい楽しかった。来てくれる度に私の胸は弾んでました。
そして気がついたんだ。
坂田くんが好きだって。
でも、それを言っちゃうともう来てくれなくなるかもしれないと思って、ずっと言えなかった。
恋心を秘めたままで坂田くんのそばにいたいがためにも伝えなかったずるい私を許して欲しい。
坂田くんの話してくれる話がとても好きでした。
私のそばにいてくれて、毎日のように会ってくれて、話してくれて、恋を教えてくれて本当にありがとう。
だいすきです。
望月A
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
Aの死から4年、彼女の命の灯火の終わりは、俺の悲しみのはじまりでもあった。
最後にかわした口付けのあの味を、欲していた。
「やっと会える……」
ポツリと呟いた言葉は、病院の中庭の温もりに溶けていく。
君が死んで4年。
僕も君の元へ行く日が来たようだ。
…………君とおなじ、日光を浴びながら。
僕と君のおかげでわかったことがある。
日光病は、体液で感染するらしい。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿すべては、俺の失敗がはじまりだった。
そして最後のキスは＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
.
.
君へ続く道のはじまりだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
病名はフィクションです。
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なのなの-VII(プロフ) - 以前から気になっていたのですが、時間がなく、やっと拝見させていただくことができました。私の少ない語彙力では、気持ちを全て伝えることができないことが悔しいです。なので、一言だけ。とても、素晴らしかったです。 (2019年12月9日 23時) (
レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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