25(土方side) ページ25
「やるか?」
俺がそう言うとハキハキ返事をして木刀をかまえるA
この3ヶ月休むことなく続けているコイツはどっかの隊長なんかより武士道を心得てるように思う。
バシィッ……
木刀の一振りもだいぶ板についてきた。
暴漢の一人や二人倒せるんじゃねーか?
カランカラン……
まぁ俺相手じゃまだまだだがな。
ジタバタと悔しがるコイツは小動物みたいで可愛い。
最近隊士たちが……
「Aちゃん最近可愛いっすよね!」
「ふくよかな時もポテポテして可愛いかったけど今はなんてーの?町美人だよな!」
「わかるわかる!」
「俺なんか前手当てしてもらったぜ?」
「「「は?!?」」」
「すんげー優しくてさぁ……痛いの飛んでった!」「なんだよそれ!羨ましい!」
「あんな子が嫁なら俺24時間365日攘夷志士ぶちのめしに…」
「そうかよ。じゃあさっそく逆賊ども引っ捕らえにいってもらおーか。24時間365日な。」
「「「「ふ、副長ぉ!」」」」
「駄弁ってねぇでさっさと市中見回り行きやがれ!!」
「「「「ハイィィ!!!」」」」
と、まぁ隊士たちが浮き足立ってやがる。
至るところでAの話や隙あらば菓子やらなにやらAに贈ってご機嫌とるヤツまで出てきてる。
「A。土産だ。女中たちと食べろ!」
『わァ!黒ゴマ団子!ありがとうございます!』
まぁ…俺も何かとAにお土産買ってしまうんだがな。
「妹みたいなもんだよ。」
「そーかそーか!トシをも手なずけるとはAちゃんはさすがだなァがはは!」
と、会議室でうちの大将が豪快に笑う。
「ところで近藤さん。例の天人の調査報告なんだが……」
例の天人とはAを狙っている春雨。
山崎の密偵によると武州の大地主のとこにはたびたび訪れては…
「飯をたらふく食って何もせず帰るんだとよ」
「飯ィ?」
「どうやらその天人は大食漢な種族らしい。」
「おいおいトシ!それって…まるで万事屋んとこのチャイナちゃんじゃねーか!」
「あぁ…そのとおりだ。A狙ってんのは兄貴だからな。」
「は!?……兄貴って?」
「あの万事屋んとこのチャイナ娘のバカ兄貴だよ。アイツがA狙ってやがんだよ!」
「えぇェエ?!!」
俺も山崎からの報告書に目を通して驚いた。
なぜあんなおっかねー天人にAが狙われるのか理由が分からないからだ。
それに武州は訪れてるが江戸には来る気配がない。
だから今の俺に出来ることはAを強くすることだ。
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作者名:Zoo | 作成日時:2020年5月14日 22時