CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ26)

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「どうせまーしぃに流されて半ば強制的に膝枕でしょ、仕方ないわ」
「そんなところですね…」
「ま、見られなかったら無い事みたいなもんだし」

いいでしょ、と彼は鍵を閉めたドアを見つめながら言った。実験室のドアはガラス張りだが、そこからだと今は私とうらたさんが奥の方で話しているだけにしか見えないし。

「それで？」と彼は私の方へ向き直り、話すようにと催促した。彼が促したのは今日までの進捗状況を言え、ということだろう。…志麻さんがぐっすり寝てしまったから、殆ど途中なのだけれど。

「今日使った毒物に関しては既に結果が出てると思います。えっと──あ」
「まーしぃ膝乗せてるから動けないでしょ、いいよ、俺見てくる」

そう言って彼は立ち上がり、使用していた机まで見に行ってくれた。待っている間に膝枕をしてしまったから、私も結果を確認できていないのだ。

うらたさんが何か言葉を発するのを待っていたが。あの表情から見るに、恐らく──今回も違ったのだろう。もう試す回数も残り少ないが、ここまで当てが外れることがあるだろうか。

「今回も外れか、運わりぃなあ」
「…まあ、あと残り数回ですから、もう確実に出ますよ」

眉間に皺を寄せて戻って来た彼。なだめるような言葉をかけながらも、私自身も少し疑いを持っている。自論に間違いがあるのではないかと。そうなると、今度こそ手の打ちようがないのだが──

彼は私に「残りはAは一日分だけでいい」と告げた。あれ、そうなると血液の量が足りない筈だが。

「いや、ストックがある」
「…お言葉ですが、鮮度が」

彼は少し口を開きかけてから、閉じて、控えめに「…自分の血の鮮度の話するってどんな気分なの？」と聞いてきた。戸惑っても一度躊躇したなら聞かないで欲しい。

ただ、研究室時代に慣れてはいるのでそう返すと不思議な感覚だな、と。私でもそう思う。…ところで、鮮度の話に戻るが。

「いや、試しに数日…か一週間程度かな、置いてたのを使ってみたんだけどさ、お前の血、しばらくは自浄作用働くぞ」

…衝撃の事実である。ここに来てから、自分の身体の知らなかった部分がいくつも明らかになっているような気がする。体から離れてもあの機能が働くだなんて。

通常の人間でも、怪我を直したりする体の中の物質は、採血後四日程度しか持たないというのに。…一週間か。かなり持つ方だな。