CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ15)

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「えへへ、ありがと」
「うん、いいよ」

にへら、と笑った彼。その純粋な言葉に、笑顔に、今から彼に告げなければならないことを思うと胸が苦しくなる。

「それでね、坂田くん。点滴と、私がそばにいるだけで目が覚めるところまで回復できたんだけどね。でも、これ以上坂田くんを回復させて、元気になってもらうためには──

──体液…えっと、唾液を、君にあげなきゃいけないの」

「わ」、と口を開けた彼。少しだけ頬を染めて、何だか恥ずかしそうな素振りをして。…そんな反応をされると、こちらが恥ずかしくなってしまう。

まるでしてはいけないことをしているような──いや、でも。彼は例のうらたさんの件の際、容赦なく私を拘束してきていたけれど？

…忘れることにしよう。

「ごめんね、坂田くん。一刻を争う状況だから、申し訳ないけど──」

「──や、ええよ」

「え？」と思わず聞き返して。彼の表情を窺えば、薄く開いたぼんやりとした瞳に、少しだけ色付いた頬。ふわりと微笑んだその顔は、あどけなさが残りつつもどこか美しくて。

呆然とした私に、彼はもう一度、はっきりとその言葉を返してきた。

「──Aなら、ええよ。ん、ちゅー、して」

それこそ、時が止まったような感覚だった。どくん、どくんと耳元まで心臓の音が聞こえるかのような錯覚を覚えて。鼓動が早くなって、息が止まってしまいそうで。

それを誤魔化して、かき消すかのように。「ごめんね」と小さく彼に向けてつぶやき、顔を近付けて、目を閉じて。唇に柔い感覚が触れて──

小さく、吐息の漏れる音が耳を刺激して。口を僅かに開ければ彼の舌が、私の唾液を求めるかのように入り込み、絡みついてくる。

心臓の音がうるさい、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだ。もうそろそろいいだろうと、彼から離れようとしたその時。

「……ん、ふぁ、ぅ」

ぐい、と頭を押さえつけられて。あれ、坂田くん、動けないんじゃ、あれ？
口の中を侵されるようなその感覚に、ぞわぞわとした感覚に襲われて。なんだ、これ。

混乱の中、ぼんやりとした頭で疑問だけが浮かんでは消え、浮かんでは消えてを繰り返して。息が続きそうにない、ふわふわとした感覚に包まれたその時。

「…ん、はぁ、っふ、ぁ、あは…」

唇から柔らかい感覚が離れて、彼の吐息と艶やかな笑い声がやけに耳にこびりつく。

「…は、あは、ゆめ、みたい」