10人目は頑張り屋さん4

命の灯火 ページ44

深澤side



Aが緊急搬送をされてから今日で4日。



今日も偽った元気でなんとか舞台をやりきるけど
達成感なんてあるわけがなくて...






ラウ「僕...もう無理...」




涙目で、読んでいたファンレターを
机の上に置いたラウール。



気持ちはすごくよく分かる。




舞台期間中に届く沢山のファンレターには
必ずと言っていいほどAを心配する文があって
それを見る度にただでさえ張り裂けそうな胸が
もっと痛くて苦しくなる。





少し前までは6人が当たり前だったのに
10人の楽しさを知ってしまった今は
10人いないと落ち着かないんだ。




苦しい。

自分がAの変化に気がつかなかったせいで
Aのことを苦しめている。





その後悔はAが目覚めるまで
きっと一生、俺の心を蝕み続けるのだろう。







そんな時だった。





“ガチャ”



時田「Aの病院に行くぞ！」




佐「え...」





Aには会えていないけれど
あの日から毎日病院に通っているから
看護師さんの話などからAの状態は伝わってくる。




予断を許さない状況。



いつ何が起こってもおかしくない状態。






そんな状況の中で、突然病院に呼ばれるなんて...




康「...なんかあったん？」




時田「...心停止だ。」




『え...』




照「どういうこと？」




阿「心停止って...」





時田「俺だって分からない！
とりあえず急いで行くぞ！！」




呆然とするラウールを目黒が
翔太を舘さんが引っ張って楽屋を出て行く。





行かなきゃいけないのは分かっている。




でも...怖い。




病院に行ったら、最悪の現実を受け入れることになるかもしれないということ。





それが怖いんだ。





照「ふっか！何してんの？早く行くよ！」





『でも...』





照「勝手に未来を決めつけんなよ！
Aは絶対に死なない。」





そうだ。
Aは俺たちと一緒にデビューするんだ。




俺は何を意味の分からないことを考えているんだ。


早く行かないと！




『ごめん。行こう！』




先に楽屋を出て行った照を追って
俺も急いで駐車場に向かう。





A、頼む。生きてくれ。




俺たちを9人にしないでくれ。

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