10人目は頑張り屋さん4

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目黒side



タクシーを降りてエントランスまで走る。


慌てた様子の俺を不審に思ったのか
警備員さんが着いてくるけれど気にしていられない。



タクシーの支払いをしていた俺を置いて
先にマンションに走っていった阿部くんが
コンシェルジュに名前を伝えているのが見える。



『阿部くん！はぁ....っ..はぁ..』



阿「今、AIと指紋やってくれるって！」




コンシェルジュ「お待たせ致しました。
阿部様と目黒様ですね。
おふたりは特別登録となっておりますので
まずはこちらに指を置いてください。

...はい。大丈夫です。


ではこちらにお座りください。
...はい。大丈夫です。


確認が取れましたので、立ち入り可能です。
こちらがセキュリティーキーですので
エレベーターホールとエレベーター内でタッチをo...」




丁寧に教えてくれるコンシェルジュさんだけど
今の俺らには少し丁寧過ぎる。

話を遮ることを許してくれ。





『あの！！
実はAちゃんと連絡が取れなくて...
部屋の鍵を借りたいんです。』



コンシェルジュ「申し訳ございませんが、それは致しかねます。」



阿「もしかしたら倒れているかもしれないんです！
命が危ないかもしれない！！」




コンシェルジュ「しかし...」




渋い表情でなかなか首を縦に振ってくれない
コンシェルジュにイライラが募ってくる。




『なんとかしてくれよ！
別に警備員が何人ついてもいいし、警察を呼んでくれてもいい！とにかく心配なんだ！！』




コンシェルジュ「...あ！
緊急時対策マニュアルに従って
雪白様が緊急時対応人として
皆様をご登録されていたら鍵を開けることが
可能かもしれません。

すぐに確認致しますので、お待ちください。」





Aちゃん...


刻々と進んでいく時間に焦りが募る。





コンシェルジュ「お待たせ致しました。

滝沢様と皆様の合計10人を緊急時対応人として
登録されておりますので、鍵をお貸しすることが出来ます。大変お待たせ致しました。

何かございましたら、コンシェルジュデスクにお電話ください。状況に応じて対応させていただきます。」




緊急時対応人...


きっと自分にいつ何があっても大丈夫なように
事前に登録していたのだろう。



Aちゃんが
俺らのことを心から信頼してくれていることが
ひしひしと伝わってきて嬉しかった。




阿「目黒！いくぞ！！」




『はい！』




Aちゃん
すぐに行くからもう少しだけ待ってて！

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