冷酷な王子に恋、始めました。Takuya.K (ページ21)

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20love ページ21

そのまま手を引いてづかづか歩いていく
拓弥先輩。

この人に恐怖という感覚はないのだろうか？

そう考えずには居られない程の精神力の強さだ。

　
拓弥「……A、何組？」

「……あっ、…二組。」

　
　
拓弥「じゃ、もうちょっとだから我慢しろ。」

そう言ってまた歩き出す。

でも絶対、私の腕は離さない。

安心。怖くない。

この人がいればそう思える。

「………………、あった…。」

教室まで入って無事リュックを確保。
良かった。

「…………ありがとっ…拓弥先輩っ！」

素直に感謝の気持ちしかなかった。
なんでここまでしてくれるかは分からないけど

実は本当に優しいんだなぁ……って。

拓弥「……ん。帰るか」

「………そ、…だね。」

　

“帰る”この一言で急に胸が締め付けられた。
もう、この時間に終わりが告げられたのか。

少し特別な今日一日はもう、おしまいなの……？

拓弥「………んだよ。一人で帰らせる訳じゃねぇんだからよ。」

「え？」

拓弥「何が“え？”だよ。当たり前だろ。

　俺がそんなヤボに見えっかよ。」

　
　
…送って………くれるの？
拓弥先輩が？あの、先輩が？

　
あまりの事に驚くことしかできなくて
とにかく間抜け顔を続ける。

　
　

拓弥「…………あ～、……めんどくせぇ、…

　ついて来ねぇと置いてくぞ。」

とスタスタ私を置いて歩いていく。
一気に恐怖が足の先からぐ…っと襲ってくる。

「………い、行かないでっ…」

拓弥「………うおっ…、」

気づいたら拓弥先輩に抱き着いていた。