【そらる】一方的でも幸せなら/sera ページ12
*
世がバレンタインとかいうイベントで浮ついていようが、構わず仕事はある。
はぁ、といつもより明るい夜空に白が舞い上がる。
かといって、バレンタインに何も貰えないわけではない。会社では気の利く女性社員が小さいけれどチョコをくれたし、後輩も何人かからチョコレートケーキなどをもらった。
今年も、ホワイトデーに頭を抱えることになりそうだ。
その時は引きこもりのまふまふも道連れにしてやる、と謎の決意をし駅へ足を進める。
吹きつける雪混じりの風に、ぶるりと体を震わせる。
ちらり。視界の端に綺麗な女性が映った。
コート越しでも分かるスタイルの良さ。風に靡く艷やかな髪。そして何より、ナチュラルメイクの綺麗な顔に伝う透明の雫。
見てはいけないものを見てしまった気がして、ぱっと目を逸らす。
「……すき、」
ぽつり。
声のした方を見ると、ぱちりと合う涙で潤んだ目。
「………このあと、空いてますか…？」
周りの音が消えて、世界にふたりしかいないみたいだ。
ただ、普通に、見惚れてしまうほど綺麗。
気づいたら手を絡め取られていて、じんわりと冷えた手か温もりに包まれる。
その言葉はきっと、そういうこと。彼女の熱を帯びた瞳に、目を逸らしたくなる。
でも、
「────はい、」
こればっかりは、惚れたもん負け。
******
ぽーっと外を見つめる彼女の前に、ことんとコーヒーを置く。
ありがと、とうわ言のように言う。
事が終わり、そのまま彼女は帰るのかと思えば朝に帰るそう。
ホテルだし、別にいいけどさ。
それにしても、事をしたあとにも関わらず寝ないとは…。
若い子の体力すげえ…。
「……そういえば、名前、きいてないよね」
「…そうだっけ？」
「そうだよ。……俺は彼方。よろしくね」
「…A。よろしく」
これが、俺とAの出会い。
今でも変だなぁって思うけど、今更そんなことどうでもいいやとも思う。
だって、幸せだし。
─────じゃあ、幸せじゃなくなったら？
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雨上がりのcrew(プロフ) - ところで、甘味没収のときのセンラさんは夢主ではなく他の人と結婚をしていたのでしょうか、、、？隠し持っていた結婚指輪と書いてあったので、、、 (2019年7月16日 0時) (
レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すごい。。。この作品私得←これからも更新頑張ってください！！ (2019年7月16日 0時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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