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徒花の散る頃《参》 ページ42




芥川は、全てを了解した。


『芥川か。いまどこに、いや、よく聞け。本部が今―――』


あの時、中也が芥川に電話をかけたのは偶然ではなかった。芥川が病院に居るとわかっていたから、敢えて電話で呼び戻したのである。


中也は、弟子の足立が裏切り者であることから、潜入任務のための囮になることを許した。つまり女の襲撃を、中也は全て把握していた。


【組織の人間は、足立一之を見捨て、死なせる気で居た。】



「芥川、足立はもう過去の人間だ。諦めろ」


中也は、残酷に告げた。首を強く黒布で縛り上げられながら、淡々と事実のみを述べていた。


「マフィアの掟。三つ読み上げてみろ。」

「……首領の命令は絶対、」

「それから」



不意に、血がこびりついた注射器が点滅した。
足立の亡霊のような唇が、こう動いている。


―――芥川。お前は絶対、裏切るなよ?


「組織を、裏切らない」

「その二つを野郎はぶち破った。それも、最低最悪な形でな」


瞳孔を開いた芥川を、中也は睨みつけながら言った。

「親殺しだよ。――作戦妨害の上、首領の命を狙ったんだ。普通に考えりゃあ、生まれてきちまったことを千回は後悔できる経験が出来るだろうぜ」

「親殺し……? 馬鹿な。千代助はミミックの傭兵と交戦し、敗れたのではなかったか? あれがなぜ首領の命を狙った」


芥川の脳裏では、四肢をもがれた裏切り者と、泣きじゃくりながら銃を向ける構成員の姿、そして、それを見つめる無表情の足立の姿が映し出されている。


裏切ることの意味。それを一番良くわかっていた男のやることとは、到底思えない。


裏切り者の四肢をもぎ取り、親友に殺させるという制裁を加えたのは、他でも無い足立一之だったはずだ。


「……あの時首領は、織田が匿ってるガキの居場所を、ミミックの連中に吹き込んでいるところだった」

「!!」

「それにブチ切れた足立が何をするか、だいたい想像がつくだろ。……その後に、ガキどもがどんな目に遭ったのかも」

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アバンギャルド・マボ(プロフ) - PVの方も見てくださってありがとうございます!!!いつか未来分岐のあるノベルゲーム版を書いていきたいと思っておりますので、その時は是非プレイしてやってください!! 遂行する前から読んでくださってありがとうございます…コメントめちゃくちゃ嬉しかったです… (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 読み込んでくださってありがとうございます(;_;) 台詞に言及してくださるのが嬉しすぎて…。 細かいことは気にしないを地で行く姿が伝わっていることが大変嬉しい!!ずるいぞお前って言いたくなるタイミングで男前を発揮する芥川が表現できててよかった!!! (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - あと、PV観ました。何あれすっごいですね!!音楽のセンスと文章ぴったりです!老爺ってまさか……子どもたちってまさか……と思いながら観てました笑。推敲する前から足立シリーズ好きなんですが、もっと好きになりました。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 不断の糸の芥川が好きすぎる。「どんな人生を歩んできたかなんて過去でしかない」って言えるのは君だけだよ……「文章だけで何を理解できる」か。これから大切なのは今であり未来だと言われてるみたいで。だからこのコンビは好きなんだ。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わあああいつも有難う御座います!!この作品は初めて自分がシリアスに着手したやつなので、一番好きだといっていただける方がいるのが最高にうれしいです・・・これからもお付き合いください!!! (2019年7月28日 22時) (レス) id: 940de82038 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2016年10月22日 0時

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