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優しい世界《六》 ページ33

「安らかに?」

「ああ」


自分にとって一番身近で、暴力からは程遠い美しく清らかなままでいる男。ただの一人も手にかけたことのない、守るべき子供。


その者からは 望んだ答えが聞けるような気がする。尋ねた理由など、それだけだった。


「……痛みを感じずに、っていう意味なら。その通り。彼は痛みなんて感じていなかったはずだぜ」


その時の千代の声は、いやに感情がなかった。ただ淡々と事実を述べるのみ。


『安らかに死んだ』という言葉の意味を 無機物的に解釈したような、 言葉に秘められた意味など全てを無視した形で答えていた。


何故か思考も、道理も、全てのあり方が違うモノと話しているような気分になった。


「大丈夫だよ。鎮痛剤(、、、)は 効いていたんじゃないのかな」


千代はただ、聞かれたことに答えた。それだけだ。何もおかしくはない。みてみろ。いつも通りに笑っているじゃないか。


……本当に、そうか?


「鎮痛剤?」


僕の声は 驚くほど低くなっていた。小さく呟いたつもりだった。しかし 千代の耳には入ってしまったようだった。

我々が行った時には、もう。生前の状況だなんて当事者(、、、)以外にはわからないぐらい、情報など残されていなかった。


そもそも、なぜあの酷い殺され方をした人間が、まだ生きているなどと、すぐにわかったんだ。


「前の話に戻るんだけど。死亡者数のことなんだが……何も間違っちゃねえんだよ。数の通りの人間が死ぬからさ」

「何を言っている」

「報告書だよ。お前、その用事で俺に声にかけてきたんだろ」


千代助は普段どおりの笑みを浮かべていた。それが逆に僕を落ち着かなくさせた。


「五人。あそこに書いた奴、全員これから死ぬんだから。何も間違っちゃないんだよ」

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アバンギャルド・マボ(プロフ) - PVの方も見てくださってありがとうございます!!!いつか未来分岐のあるノベルゲーム版を書いていきたいと思っておりますので、その時は是非プレイしてやってください!! 遂行する前から読んでくださってありがとうございます…コメントめちゃくちゃ嬉しかったです… (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 読み込んでくださってありがとうございます(;_;) 台詞に言及してくださるのが嬉しすぎて…。 細かいことは気にしないを地で行く姿が伝わっていることが大変嬉しい!!ずるいぞお前って言いたくなるタイミングで男前を発揮する芥川が表現できててよかった!!! (2019年8月29日 13時) (レス) id: f747016130 (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - あと、PV観ました。何あれすっごいですね!!音楽のセンスと文章ぴったりです!老爺ってまさか……子どもたちってまさか……と思いながら観てました笑。推敲する前から足立シリーズ好きなんですが、もっと好きになりました。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
よしな。(プロフ) - 不断の糸の芥川が好きすぎる。「どんな人生を歩んできたかなんて過去でしかない」って言えるのは君だけだよ……「文章だけで何を理解できる」か。これから大切なのは今であり未来だと言われてるみたいで。だからこのコンビは好きなんだ。 (2019年8月28日 12時) (レス) id: 97ebc294fb (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - わあああいつも有難う御座います!!この作品は初めて自分がシリアスに着手したやつなので、一番好きだといっていただける方がいるのが最高にうれしいです・・・これからもお付き合いください!!! (2019年7月28日 22時) (レス) id: 940de82038 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2016年10月22日 0時

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