みんな大好き北さんの妹【稲荷崎】

気持ち ページ10

ーノーサイドー


侑「俺らはこの一週間の記録が知りたいねん。どうせ無理やけど。誰かさんが役立たずなせいでな」


Aは無言でホワイトボードを引っ張り出した。


そして荒っぽい字で何かを書き始めた。


北「A、あんま意地張るなや」


『信介は黙ってて。これ、私の問題だから』


他の部員達もホワイトボードの周りに集まってきた。


角「…マジで？」

治「嘘やろ」

ア「天才っちゅー奴か…」


Aはペンを乱暴に置いて、ホワイトボードを叩いた。


『これは！月曜、今日は金曜だから四日前の試合の記録！例えばAチーム、一本目から侑と治のマイナステンポ。凄いなって思ったけど、信介にレシーブされてた。

十四本目。疲れてるのにも関わらず、侑は無理してオーバーでセットアップした。一番近くにいたのは治なのに、コートの端からコートの端で跳んでる角名にトスをあげた。侑の視野の広さにびっくりした覚えがある。

この試合はスタメンに限らずみんなレシーブ頑張って。苦しくても拾って、拾って、また拾って、

粘り強さを尊敬した。

けど治は肩の調子が悪かったのかちょっとフォームが崩れてた。角名は跳ぶのをサボって到達点が低かった。Bチームの三年生はいつも通り。アランさんはエースらしくブロックをぶち抜く姿が印象的だった。

Aチームの侑は、スパイカーが不調なのにも関わらず、トスを低くせずにいつも通り上げ続けた。

正しい判断だった。少しでも甘やかすとそのうちスパイカーは跳べなくなるし、セッターはトスの高さがイマイチわからなくなって、スパイカーと息が合わなくなるんだって、よく分かってた！』



『私は！こういうところまで試合を見たい。記録を取ると記録する分だけしか見れなくなる。

選手の気持ち、様子、臨場感だとかは感じられなくなる。

分析して、理解して、疑問に思って、

それを繰り返しながら私は高校バレーを見てる。

記録を取れと言われるなら後から取る。
　
　
　
　
　
　
けど、どんな風に記録を取ろうと私は稲荷崎のマネージャー！

邪魔？帰れ？勝手に言ってくれればいいから！！


私は唯一無二のマネージャーになりたい！』

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