予想外―�� ページ32
「………そう、ですか…」
気まずい空気が立ち込める教室の片隅。
私が無言だった間、時間に換算すればほんの数十秒程度、だったのでしょうが。
その数十秒が、とてつもなく長く感じてしまう。
かろうじてそれを断ち切ったのは、私が絞り出した声でした。
「謝罪は…受け取らせて貰います。正直まだ、気持ちの整理は付きませんが………」
今までに経験した事のない出来事。
すずの言葉を信じ、私の言葉は一切聞いて貰えず、姉としてどうなんだと責める人には何人も出会ってきました。
けれど、それを間違いだったと謝罪してくれる人には今まで一人も出会った事はなかった。
だからでしょう。私の蔑ろにされ続けた気持ちがやっと報われて嬉しいような、でも、唐突な謝罪の言葉に複雑な気持ちもまだ拭えないような。
どうしていいか分からず、折角謝罪しに来てくれた少女達に気の利いた一言も言う事が出来ませんでした。
再び気まずい空気が漂い始め、その空気のせいかついつい押し黙ってしまう。
ですが、ふと気になる事を見つけて私はもう一度口を開きました。
「その、何故…何故、謝罪をしに来ようと…？」
聞くと、昨日私に声を掛けた例の少女がぽつりぽつりと何故謝罪をしに来たのか事情を話してくれました。
「昨日…及川さんに忠告というか、良くないと注意されたんです…
友人一人がこんな被害にあったと言っただけで、証拠もない、会った事もない鳴宮さんに一方的に攻撃するなんて如何なものかと………」
「………及川君が？」
彼の顔を見上げると、なんでもなさそうな顔をして自分の手を、正確には爪を見つめていました。
そのなんでもなさそうな顔が妙にわざとらしくて、「別に何もしてないのになぁ」、なんていう声が聞こえてきそうな雰囲気です。
私にデザートを預けて先に座っていろ、と及川君が言ったのは彼女達にこの忠告をする為だった。
それを知ってしまうと、私は一体何を心配していたのかと自分で自分に呆れると同時に、また少し幸せな気持ちになってしまう。
当の本人は、相変わらずなんでもない顔をして「また爪の手入れしなきゃな〜」、なんてボヤいていますが。
「それと、その…妹さんが…」
「………すずが？」
しかし、その幸せな気持ちに浸る間もなく。
少女はもう一つの事情を教えてくれました。
「忠告を受けて、ぐうの音も出なくて…その後、気まずいままだったんですけど…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 367人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Guilty(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます、キャラの把握、そして溺愛っぷりはかなりこだわって書いてますのでそう言って貰えると嬉しいです☺ (2023年2月23日 13時) (
レス) id: 4d6b8818fd (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 及川さんの溺愛っぷりがすごいです！キャラがちゃんとつかめていて、見ててすっごく面白です！！ (2023年2月23日 13時) (レス) @page44 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - あさん» 長らくお待たせしてしまいましたね😅文章の書き方はこだわっているつもりですのでそう言って頂けると嬉しいです、ありがとうございますo(_ _)o (2022年9月11日 19時) (レス) id: 7dfd57a894 (このIDを非表示/違反報告)
あ - ここここ更新されてる😭ずっと待ってたんですよ！！1話1話の文の書き方好きです (2022年9月11日 18時) (レス) @page29 id: a182ab6823 (このIDを非表示/違反報告)
Guilty(プロフ) - あさん» 毎晩覗きに…！？Σ(ﾟ∀ﾟﾉ)ﾉマジですかありがとうございます、そんなに期待されていたとは…毎日更新が出来ないのが申し訳ないです、必ず近いうちにまた更新させて頂きますm(__)m (2022年8月23日 2時) (レス) id: 7dfd57a894 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Guilty | 作成日時：2021年7月8日 14時
