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夜はマフィアの時間だけど寝ていたい ページ4

終わったー、書類整理終わったー。
なんかルーベンスの絵画とネ〇とパト〇ッシュが身を寄せあって安らかな表情をしている幻覚が見えるから私は相当疲れているんだろうな。
「パ〇ラッシュ……僕はもう疲れたよ」
例の台詞を呟き、私は大きな溜め息を吐いた。
ミルク色の夜明けに、空へ続く真っ直ぐな道が見えてきそう。

あーあ、こんなに山のような書類、一体誰が押し付けてきたんだか。児童労働反対。

そんな時、準幹部執務室の扉がノックも無しに開かれた。そちらを見ると、黒い背広(スーツ)に過剰に腕や頭に巻き付けた包帯の青年。
此 奴 か 。

「やっと終わったのかい？ 君は此の程度の事も手早く終わらせられないのか？」
「申し訳御座いません、太宰幹部殿」
私は反射的に謝罪したが、ふつふつと沸き上がるものがあった。これはきっと怒りだ。

は？ これ齢十一()の子供にやらせる仕事じゃないでしょう。
巫山戯るのも大概にしろよ、歴代最年少幹部の兄さんよ。
元々は貴方の溜めに溜めまくった仕事でしょうに。
私の仕事じゃないだろ。何で私に押し付けてくるんだよ。
階級下だからってか、巫山戯るのも大概にしろよ(二回目)。

抑々勝手に私の執務室に入ってきてるの可笑しいでしょ。
何勝手に私の机の中の付箋使って、「今日二十二時迄」とか貼ってるんだよ。
確認したの二十一時だぞ？でも時間迄に終わらせたよ！！
三日間も残業続きで、いい加減帰ろうと思っていたけど必死で終わらせたよ！！
しかも付箋、書きやすくて見やすくてお気に入りだったのに。
よくも最後の一枚を！！

『君は此の程度の事も手早く終わらせられないのか？』だって？
ブーメランだよ！
お前がやっておけば待つことも無かったんだよ！

これだけの感情を一切表に出さず耐えきった私を誰か褒めて欲しい。
口調がブレッブレ。まだこの躯と前世の記憶が上手く馴染んでない。

全国の太宰さん推しに殺されてもおかしくないけど、こればかりは耐えられない。
もう何度目だよ。
この躯の持ち主は何度もこんな理不尽に耐えてきたそうだが、私は無理だ。いつか抗議してやる。
児童労働反対！！！ 大人だとしても厭だ！！

太宰幹部(クソ上司兼兄)は不服そうな顔のまま整理された書類を持って、礼も云わずに無言で出ていった。

……来週は一週間(と云っても五日間だが)有給とろう。
今の私には休息が必要だ。

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