期末試験 ページ49
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「今は部活で時間ねぇし、」
他のこと考えるほど余裕もないねと言いながら、悩むような素振りをして腕を組む黒尾。
そんな黒尾にふーんと適当な相槌を打って沈黙が続くと、私たちはまたノートに向かって問題を解き出す。
「あ、じゃあ好きな人は？」
「…オイ」
勉強は？と呆れる黒尾に、私は一旦休憩しようと提案する。
初めてから時間結構経ってんなと時計を見て呟く黒尾は、何飲みますかと立ち上がって食器棚を開いた。
「好きなやつ、いるよ」
「え？」
驚いて言葉が出ないでいると、さっきの質問の答えと言いながら、私の好きなミルクティーを何も言わずともアイスで出してくれる黒尾。
あっありがとうとお礼を言って、再度黒尾に視線を移すと、黒尾は緑茶を一口飲んでから、言ったことなかったか？と笑いを零した。
「うん。…その子に告んないの？」
「今んとこ脈ナシだし、
告るなら卒業する時に言うかもな」
黒尾が好きな子って誰なんだろう…と気になって黒尾の様子を伺っていると、それ以上は話すつもりがないのか、眠くなってきたなと目の前で欠伸をしながら伸びをしている。
気になるなら黒尾の好きな子って誰と今ここで聞けば良いだけなのだが、なんだか勇気の出なかった私は、勉強再開しようかと声をかけた。
・
今後、もし黒尾に何かがきっかけで彼女ができてしまったら、私とこうして勉強することはなくなるし、いつもみたいにふざけ合うこともできなくなる。
私みたいな一部員より彼女を優先しちゃうんだろうなと、黒尾の隣に女の子がいるのを想像すると、ちょっと嫌だった。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
