期末試験 ページ46
◇
それから二日後のお昼休み、現状を把握するため、私は中庭に優等生二人組を招集した。
「球彦、優生」
進捗状況は？と指導陣である二人に聞いてみると、優生は僕の教え方が悪いのか効果があまり…と悩んでおり、球彦はお手上げですと両手を上げる。
「こればっかりはすぐに成果が出るものではないし、
むしろ二人にばっかり任せてごめんね」
今日から私も部活後の勉強会参加するからと言うと、Aさんの勉強は大丈夫なんですか？と驚いたように聞いてくる二人に、もちろん私も一緒に勉強するよと笑う。
リエーフを大人しくさせるためにも、3年は必要でしょと何となく状況を想像して言えば、本当にありがたいですと球彦が喜んで言った。
◇
「じゃ、おつかれー」
「お前ら勉強頑張れよー！」
海と夜久、黒尾がそう挨拶して出ていったのを確認してから、私はひょっこり部室に顔を出す。
「よし。さっさと始めよ」
今日はAさんも参加するんですね！と喜ぶリエーフをさっさと座らせて、私はノートと教科書はやく出せと鬼の心で可愛い後輩にプレッシャーをかける。
しばらく勉強している皆を監視していれば、研磨が隠れてスマホを出そうとしているのが見えた。
「ナニシテルノ」
「っ、」
そっと研磨の後ろに近づいて声をかけると、ビクッと驚いたように肩を跳ねさせる研磨が、恐る恐るこちらを見る。
ログインボーナス…ととても細い声で呟く研磨に、それやり出したらあなた普通にゲームし始めるよね？と圧をかけながらスマホを取り上げる。
たかが1時間半くらいなんだから、今くらいやめなさいと没収すれば、凄く不服そうにブツブツ言いながら、研磨は私の顔をちらりと見て勉強に戻った。
「Aさん！こ、ここ…教えてください！」
隅っこで勉強していた虎の方へ向かうと、何度も間違えてしまっている問題を見せられる。
虎の教科書やノートにはしっかり書き込みがしてあり、合宿のために本当によく頑張っているなと、隣に腰を下ろしながら虎の背中を軽く叩いた。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
