IH ページ24
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「今日の試合に勝ったら全国に行けるの？」
「えっと、この試合勝てばベスト4です」
全国にはまだ遠い...と小さく愚痴を漏らすと、頭にずしりと重みが加わり、優勝なんてすぐだよ！と上からとんでもない言葉が聞こえてくる。
「レーヴォチカ！」
そう嬉しそうに声を上げるアリサさんの視線は私の頭上を向いており、あと3回勝てばいいんですよね？と良い笑顔を見せるリエーフ。
本当に分かっているのかと呆れながら、姉と楽しそうに話すリエーフをじとりと見ていると、Aコートでアップをし始める黒尾たちに気がつく。
「リエーフ、腹痛は治まったの？」
「はい！冷たいの飲みすぎました！」
「もう、ちゃんと自己管理ね」
私もすぐいくから早くアップしなとリエーフを急かし、アリサさんに挨拶をしてから救急バッグを持って階段をかけ降りた。
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「すっげー美女がいる！」
「え、どこ」
だらしない会話を繰り広げている連中がいるな...と呆れて目をやれば、そこにはうちの三年のバカニ人組がいた。
スタイルもイイねーと休憩中に話す様はなんとも滑稽で、私はその二人の間にぬっと割って入る。
「リエーフのお姉ちゃんだよ」
「うわっ！」
私の存在にすら気がついていなかったのか、あの美女が後輩の姉であるという事実と二重で驚いた様子を見せる黒尾と夜久は、目を開いたたま私を見る。
「試合前なのに
緊張がまるでないようで安心しました〜」
さすが三年生だね〜と煽るような口調で笑いかけると、気まずそうに顔を見合わせる夜久と黒尾は、ハッとした顔で頷きあう。
「大丈夫、今からだって身長は伸びるから」
「違う」
確かにアリサさんの身長は羨ましいが、それを理由に機嫌が悪いわけでは決してない。
何よりその顔ウザイと、私の肩にそっと手を置いて涙を拭う仕草をする黒尾に顔を向けると、今度は反対側から肩を組まれる。
「大丈夫、Aも可愛いとこあるって！」
「断じて違う」
私がアリサさんみたいに可愛くないから傷ついているとでも思ってるのか、無駄に爽やかな笑みを浮かべて励ます夜久がとても腹立たしい。
その後もあーだこーだとギャンギャン話していると、スっと私たちの目の前に仏様が現れる。
「3人とも集中しような」
そう普段通り笑うはずの海がなんだか怖くて、私たちは瞬く間に静寂と集中を取り戻した。
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作者名：西川あや | 作成日時：2022年10月7日 1時
