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少し不快そうなする二人を気にせず、ミネルヴァは両手で頬杖をつきながら続けた。
「坊やの体質、治してあげるわ」
「え、本当!」
席から立ち上がり、身を乗り出すメルヴィンにロベルティーネは呆れるが、それは実に興味深い内容だと考える。それが本当ならば、依頼さえ熟せてしまえば、メルヴィンを人に戻して殺す事が可能になる。そうなれば「無音の死神」がロベルティーネであると知る人物は居なくなる。一石二鳥、とても魅力的な報酬だ。魅力的だが……果たして、信用して良い物か。
しかし、その思考を遮る様にミネルヴァは「でもね」と口を挟む。
「この報酬は依頼が完了した後で良いかしら?」
「ちゃんと払ってくれるなら別に構わない」
「だが、何故?」と疑問を口にすると、彼女は部屋にある薬棚にチラッと目線を送って、再び口を開く。
「その魔法を解くには、特殊な薬を作らないといけないのよ。材料が幾つか足りないし、それに材料調達も大変なの」
「今すぐは無理なのか?」
「えぇ。我ながら面倒な魔法を掛けてしまったわ」
「魔法? 呪いじゃないのか?」
「魔女が呪いを掛ける事はタブーなのよ。知らないの?」
知るか。眉を顰めるロベルティーネに対し、ミネルヴァは軽く溜め息を吐くと、メルヴィンに視線を移した。
何故、魔女と呼ばれるこの女が、普通の彼にそんな訳の分からない魔法を掛けたのかは分からない。只の悪戯なら、厄介な魔女だと片付くのだが、しかし、ミネルヴァはあっさりと魔法を解いてあげると宣言した。しかも、依頼料代わりに。彼女の心理が一向に分からないから、警戒をする。怪しむ。疑う。答えを知りたい。
そう言えば、メルヴィンも何故死にたいのか、明確な答えをくれなかった。それに、何故魔法を掛けられたかも。小賢しくも黙秘権を行使している。いずれ居なくなってしまうのだから知らなくても良いが、その日が来たら答えを聞きたいものだ。
「で、やってくれるわよね。あの女、“
話を強制的に戻したミネルヴァは問う──否、当然だよねとでも言い出さん勢いで肯定させた。「No」とは絶対に言わせない。その強い意志が滲み出ていた。
ロベルティーネは全ての真理が知りたいと望む。いつもなら、「胡散臭い」「面倒な戯言に付き合えるか」と言って突っ返すのがセオリーだったが、隣にいる呑気な男を捨て置くつもりはなかった。
消せるなら、全て消せ──
「分かった、請け負おう」
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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (
レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：十二月三十一日 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年1月18日 21時
