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勿論、声だけで全てを決定するのは不可能だ。だが、どう聞き出すべきか悩む。
短時間に沢山のイベントが起こり過ぎて、頭痛しかしないロベルティーネが溜め息を漏らしたのに対し、ミネルヴァは「あら、紅茶はお嫌い?」と質問する。彼女にしてみれば寧ろ、好きな部類に入る飲み物であるが、不審人物が淹れた物となると話は別で、尚且つ、少しだけ疲れているのだ。言わずもがな、ファンタジーな出会いから、情報収集、そして戦闘と、バトル漫画の様な展開が短時間にこれだけ起きれば、誰だって疲れるだろう。
しかし、そんな事はお構い無く、ミネルヴァは紅茶を一口飲んで、他愛の無い世間話をする。今の話題とは全く関係が無い話をする彼女を他所に、二人の猜疑心は募るばかりだ。紅茶にも菓子にも、手を付ける事もない。ロベルティーネは裏社会で生きる人間らしく、薬を盛られている可能性を考慮して遠慮しているのだが、メルヴィンは只彼女が淹れた紅茶、彼女が出した菓子を口に入れたくないだけである。その様子を見ながら、ミネルヴァは只笑うだけ。
茶会と言うにはとても殺伐としていて、面白くも何とも無い──あれだけのイベントをこなしておいて、「茶会だぞ、さぁ楽しめ」と言われても誰も楽しめる訳が無い。そもそも茶会を主催のしているのが魔女と呼ばれている女、招かれているのが殺し屋と吸血鬼もどきなので、このメンバーで楽しく会話している方が寧ろ可笑しいと言う物だ──空気に耐えかねたのか、メルヴィンは自称学者の魔女に問い質した。
「アレは、貴方がやったんですか?」
「アレ? ……あぁ、アレね。さぁ、どうかしら? やったと言えばやったかもしれないけれど、やってないと言えばやってないわね」
何かをはぐらかす様にミネルヴァは再び紅茶に口を付ける。問いの答えになってないと、メルヴィンが立ち上がろうとするのを寸前で阻止し、ロベルティーネが彼の言葉に代行し、問いの核心を追求した。
「あの男は誰かに操られていたらしいが、それは魔女であるお前がやったのか否か、答えてほしい。それとも、別の魔女の仕業なのか?」
「本当、美しくない言葉遣いね。魔女……懐かしい響きだわ。確かに私は魔女よ。でも、今は学者をしているの」
(はぐらかされたか……)
一つの単語に逐一反応を見せるミネルヴァに対し、尋問がけして得意とは言えないロベルティーネは苛立つ。だが、魔女は今度は問いの言葉を咀嚼しながら、 答える。
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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月18日 21時