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「所で、二人は何をしているんですか?」
険悪な雰囲気を破ってきたのは、ダンテだった。メルヴィンはロベルティーネから離れると、「人探しをしてるんです」と答えた。先程とは違い、これは紛れもない真実──と言っても、探し人は派手な格好をした魔女──である。
彼は“魔女”の単語を巧みに伏せながら、探し人の特徴を話すと、ダンテは紙袋を抱えていない方の手を顎に添えながら黙考するが、「うーん」と呟きながら半ば困った様に微笑んだ。
「残念ながら、その様な特徴の方は沢山見てますからね……少し難しいかと」
「ですよねー……、困ったなぁ」
「なんでしたら、それらしい方を見つけましたら連絡しましょうか?」
「いえ、大丈夫です。態々ありがとうございます」
そこまで世話になろうとも思わないし、よく分からない事に巻き込むのは流石に気が引けるので、ロベルティーネはダンテの申し出をやんわり断る。彼は少し残念そうな表情しながら、「そうですか。お力になれず、申し訳ありません」と謝罪した。
その後、二言三言言葉を交わし、ダンテは懐にある紳士の定番アイテムの懐中時計を確認する。時刻は11時56分を指しており、彼は少し慌てた様子で懐中時計を仕舞った。
「すみません、此方もまだ仕事が残っているので、失礼しますね」
「大丈夫ですよ、ありがとうございました」
「いえ、私も力になれず、本当に申し訳ないと思っているので……」
ダンテは紙袋を抱え直し広場を横切ろうとするが、すぐにロベルティーネ達の元へ駆け足で戻ってきた。何事かと思い、二人は顔を見合わせると、ダンテは少し息を切らした様子で口を開く。
「そう言えば、今朝の新聞見ましたか? 最近、この周辺で物騒な事件が多発してるらしいので、ロベルティーネさん達も人探しをする際は気をつけて下さいね。おじさんのお節介だと思って、受け取っておいて下さい」
「では」と、出会った時と同じ様に会釈をすると、今度こそ広場を横切って、ジャルドーレ通りの大通りへと消えていった。
ダンテの言った通り、彼女は今朝、新聞を読んだものの、自分が起こした事件以外の欄を適当に流していたので、詳しい内容はあまり思い出せなかった。ジャルドーレ通り周辺でそんな事件あったっけと頭にクエスチョンマークを浮かべていると、メルヴィンはその場でしゃがみこんで、少し拗ねた様子で肘をつく。そして、機嫌の悪い子供の様に呟いた。
「嘘吐きの匂いがする」
「は?」
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十二月三十一日(プロフ) - づみさん» 有難う御座います。読んで頂き光栄です。更新頑張りますので、今後共宜しくお願いします。 (2018年3月3日 2時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
づみ(プロフ) - お話がとても好きです、更新たのしみにしています。頑張ってください〜 (2018年3月2日 16時) (レス) id: 688586594f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十二月三十一日 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年1月18日 21時