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「そんな、任せてるだなんて。私としては嬉しいかな。でもね、私は出来ることをやってるだけだよ」
「その『出来ることをやってるだけ』が全然『だけ』じゃねぇの。」
「ほんと?頼れる衛輔にそう言われると自信になるなぁ」
「A、めちゃくちゃ俺らの支えになってくれてんだよ。だから自信持てよ、な?」
「うへへ、嬉しい!ありがとう!!」
「おう!」
練習試合が始まんぞー!と鉄君の声が聞こえて、やべ、試合始まる!なんて言いながら衛輔は整列するために急いでタオルとドリンクをベンチに置こうとする。それと同時に私もつい癖で受け取るように腕を広げていたら、衛輔の大きな目と視線がかち合った。
「どうぞお預け下さいな、音駒の護りのエース殿」
「ッ!あんがと!!」
「行ってらっしゃい」
「おう!」
(…そういえば、)
駆け出す衛輔の背中を見て、未だに口にしていなかったと気づいた言葉がある。当たり前すぎて、逆に言っていなかった言葉。
「──────衛輔!」
「っどうした、?」
「──────私、傍で見守ってるから!そして見届けるから!!」
『それら全部とっぱらって、俺ら"護りの音駒"が全国制覇するところ、傍で見届けてくれ。』
「っ…〜〜、!おう!見ていてくれ!!」
これが公式の試合という訳ではない。その公式試合に向けての一環である、合同合宿のよくある練習試合。だけど、何故だか言葉にするのは今だと思った。
(ちゃんと伝わってるってこと、言えてなかったような気がしたからね、)
心の中で追加するように呟く。青ビブスを身に纏う彼らを支えるために、記録用紙がピンと挟まれているバインダーを今1度持ち直した。
(………頼れるって、言われた。しかも笑顔で。しかも急にあんな言葉、言ってくれた。)
練習試合で整列するため走って向かっている夜久が、心の中で少し照れながら思ったことは、Aは知らない。
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西 - この方角に福があるはずです
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作者名:RiN | 作成日時:2024年3月18日 5時