ゴリラ、ゴリ押す。【松野千冬】

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『んー……分から、んっ！？』

｢A｣

『ちょ、なに、近い』

｢オレ、男。｣



頬を掴まれ、鼻が当たってしまうんじゃないかってぐらいの距離で、そう話す千冬。

知ってる。お前を女だと思ったことは無いよ。



｢お前、今自分の状況わかってる？｣

『言葉に出来そうにないっス』

｢……今オレがこうやって力入れたら、｣

『っちょ、何すんの……！』



ガン！という大きな音を立てながら、私はすぐ側の教室に軽く打ち付けられる。

そしてそのまま下に埋め込まれるように力を込められて、抗おうとしても全然適わなくて。

私は座り込んで、千冬は屈んで壁に手をついている。


普通にこの体制恥ずかしい。



｢分かった？今自分が置かれてる状況｣

『それはわかったけ、ど！何がしたいの……っ！』



渾身の力で退けようとしても全く動かない。

男の子なんだなあ、と改めて実感。




｢A｣

『何……』

｢お前は女の中なら普通にゴリラ並に強いし、バケモンだ。お前力強いから俺わりと今力んだ。｣


え、何こいつ。反省してないの？前のこと。

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