土方さんオチの土方さん好きのためだけの短編集

あなたの手が ページ8

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『土方さん、手を見せてください』





私がそう言うと、またか、とでも言いたそうな顔をする。



それでも、彼は私の願いを聞いてくれる




スっと出された手は、暖かくもなく冷たくもなく……


私にとってとても心地のいい温度






手の甲には筋があって、手のひらは稽古の後や刀を握っている人ならではの硬さがある








『土方さんの手、とっても綺麗です』







私の言葉に少し眉をピクリと動かす

言いたい事はだいたいわかる




“人殺しの手だ”




“たくさんの人を斬ってきた”




“血を浴びた汚い手だ”







そう言いたいんじゃないだろうか









｢綺麗じゃ、ねェさ｣







『とても綺麗ですよ。あなたの手はたくさんの人を斬ってきたかも知れません。たくさんの血を浴びてきたかもしれません





それは、私達を護ってくれている綺麗な手です』









私はそんなあなたの手が好きです









そう言うと、彼は耳を赤くしてそっぽを向く



そんな姿が愛らしくて、愛おしくて




とっても可愛らしい









『ねえ、土方さん』



｢なんだ｣






『大好きですよ』









きっと彼はこれから先も、ずっと誰かを護る剣を振るうだろう






私よりずっと前を歩く彼が光なんだ





彼の手が、彼の全てが大好きなんだ









END

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