土方さんオチの土方さん好きのためだけの短編集

行ってくる。 ページ5

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お前に会いに、お前に一言言いに来られたのは、アイツのおかげなんだ。









｢…お前、アイツに会ってかなくていいのか？｣






アイツ………名前を言わなくてもわかる。
万事屋が言ってんのはAの事だろう。









｢………テメーらの事情に首突っ込むつもりはねぇけど……お前はいい恋人持ったもんだよ。｣

｢……は？｣

｢お前が来る前に、来たんだよ。そこで少し話した。あんなに、お前のこと分かってる恋人なんてそういねェさ｣









確かに、こいつが言うようにAは俺の事をよく知っていると思う。何も言わずに俺を好きでいてくれている。








｢でもよォ、やっぱ寂しいと思うぜ。どんなにお前の事を知っていても、この街から少しの間お前はいなくなる｣

｢でも、お前は何も言わずに行ってしまう。一人で泣くんじゃねぇの？｣



｢テメーには関係ねェよ｣








あいつはどんな時でも笑ってる。俺が思ってるよりも強くて肝が据わってる。

でも、それは本当か？本当は無理してんじゃねェのか？無理して笑ってんじゃねェのか？一人で泣くんじゃねェか？


どんどんそんな思いが湧き出てくる。









｢さっさと行きやがれ。大切にしねェと後悔する事くらい分かってんだろ？｣

｢………あぁ、すまねェな｣








アイツに背中を押されなければ俺はAの前にはたっていないだろう。








｢必ずお前の元に戻る。少しの間だけだから、待っていてほしい。もっと強くなって帰ってくる。｣







こんな事しか言えねェ。これが俺にとっての精一杯だ。それも分かっていたのか、Aは、少し目に涙をためて笑った。






『行ってらっしゃい』





その一言で俺はまた戻ってきてもいいんだ、とそう思った。






｢行ってくる｣







俺は必ず強くなって、どんなことがあっても、どんな所にいても、お前を護れる強さを得る。

この国も護れるような強さを得る。







だから、待っていてくれ。









それじゃあ、A、そして歌舞伎町。

少しの間、この街を離れるよ






…………行ってくる。









END

いきなり頬にキスしてみた 〜蒼桜様リクエスト→←行ってらっしゃい。

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