親友10人 ページ12
ガツガツとすごい勢いで茶漬けを食べる敦くんと、その隣で大人しく座るAちゃん。
「何も頼まなくていいのかい？」
今なら国木田くんの奢りだよ？、と問えば『結構です』と返されてしまった。
『それに、太宰さんを助けたのは敦で、私は何も……。』
ふふ、律儀だね。彼女は。
確かに言い方は固かったけど、私は気にしていないのに。
この程度のとこで、顔をしかめたりしないさ。
本当に、この2人を見ていると、面白くて飽きない。
警戒心が薄くてお人好しな敦くんと、警戒心が強くて敦くん以外にあまり興味が無いので在ろうAちゃん。
こうして敦くんが食べている中、君だけは常に隣を気にかけている。
真逆に近い性格のこの二人が、どうしてあんな川辺にいたのか。
家族と云う訳ではないみたいだし、恋人同士でも無いだろう。
特別な関係だったら、会ったばかりの人にホイホイと着いてはいかないからね。
「ねぇ、二人共。どういう関係なんだい？」
私の隣で国木田くんが、「早くしろ」と目で訴えてきているけど。まあ、いいじゃないか。
少しぐらい。
この出会いも、何かの縁かもしれないのだから。
『同じ、孤児院育ちなんです。』
「経営不振だとか事業縮小だとかで追い出されそうになって…。Aと飛び出してきたんですけど、迷惑かけっぱなしで。」
そこまで云うと、気まずそうに俯く。
ふぅん……。経営不振、ねぇ。
Aちゃんの方へ視線を向けると、ふと目が合う。
でも、すぐに剃らされてしまった。
おや、残念だ。
「太宰。そんなことを聞いてどうする。俺たちは恵まれぬ小僧に慈悲を垂れぬ篤志家じゃない。」
仕事に戻るぞ、と淡々と告げられる。
片割れは孤児院育ちで追い出された子。そしてもう片割れはそれに着いてきた。
深入りするなと云うことだろう。国木田くんは真面目だねぇ、本当に。
「仕事……？」
仕事中だとは思わなかったのか、敦くんが首を傾げる。
そういう反応、悪くないね。
食堂の机にトン、と肘を付き、口角をニヤッと持ち上げる。
「なァに……探偵さ。」
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作者名：あげねこ丸 | 作成日時：2019年6月16日 17時
