第9話 お祭り ページ10
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その日の吉原はいつもより賑わいをみせていた。
空と
太鼓の音に子供たちのはしゃぐ声。
立ち並んだ屋台からは威勢のいい声が、
大門から沢山のお客さんが流れ込む。
『昼間もすごかったですけど、
夕方からこんなに、来るんですね』
「今日は遊女も百華もお客さんも関係ない。
みんなのお祭りだからね」
かき氷を食べ歩く若い女の子たちを眺めながら、
日輪さんは嬉しそうに呟いた。
そんなひのやでも、
お祭り目当てのお客さんが休憩がてら入ってくる。
『ありがとうございました』
「よぅ、看板娘」
外までお客さんを見送っていると、
後ろから声をかけられる。
ひらひらと手を振ってくる銀髪の男性。
『銀時さん! 来てくれたんですね』
「ちょっと様子を見にな」
どうぞ、と中に案内する。
いつものように、いちごオレをふるまう。
本来はないメニューだが、銀時さんは特別らしい。
『神楽ちゃんと新八くんは? 』
「神楽は国の大事なお姫さんと朝から遊びに行ったよ。
新八は風邪で寝込んでる姉貴の看病。
まぁ、俺だけだ」
いつもの見慣れた3人ではない事に気づき、
問いかけると、
銀時さんは頭をかきながら困ったように笑う。
「A、せっかくだから銀さんと屋台回ってきなさいよ。
私は晴太と月詠と回るつもりだからさ。
今日はさくら屋も休みだろう? 」
日輪さんがいいアイデアというように、
ニコニコと手を叩く。
時計をみると営業時間の終わりを示していた。
(どうしよう……)
せっかく日輪さんが言ってくれているのに、
断るのも申し訳ない気がする。
銀時さんをみると、ぽりぽり頬をかき、
少し不安げに見つめ返してきた。
『じゃあ、銀時さんが良ければ』
どうですか、と首をかしげれば、
「あぁ、喜んで」
と彼は笑った。
「銀時、Aに何かあったらタダではすまぬぞ」
後ろを振り返ると、愛用してるキセルをふかしながら
月詠さんが立っていた。
「お前に言われなくても、 わかってるよ」
「A、いざとなったらアイツを置いて逃げろ」
『何もないから、大丈夫ですよ』
あはは、と苦笑しながら答える。
(この目は本気で言ってる目だ……)
いつのまにか吉原の空にも星が瞬いていた。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時