第5話 吉原の医者 ページ6
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ひのやは人気の茶屋だ。
老若男女問わずたくさんのお客さんが訪れる。
「こんにちは」
「あら、
『こんにちは』
「街を廻るがてら、少しこちらで休憩を」
のれんをくぐってきたのは、若い男性。彼は吉原唯一の医者である。
吉原にきて日は浅いが、技術力も高く、とても良い先生だと遊女たちの間でも評判高い。
「日輪さん、体調はどうですか」
晴太くんに注文しつつ、日輪さんの足に目を向ける先生。休憩がてらと言いながらしっかりと仕事をしている。
「大丈夫ですよ先生。晴太が毎晩足を揉んでくれて、とても助かってるんです」
褒められて嬉し恥ずかしそうにする晴太くん。そんな彼の頭を先生は優しく撫でる。
「Aさんはどうですか。働き者なのは良いですけど、ちゃんと寝れてますか」
『はい、平気ですよ』
気にかけてくれた新井先生にお茶をだすと、心配そうに見つめられた。どうやら目の下のクマを発見されたみたい。
「今日もかい? 」
『ええ、今日はさらに人手が足りないらしくて』
裏の仕事が回らないみたいです、と付け足す。
昼は茶屋、夜はお店で遊女の手伝い。そんな生活を私はしている。
「どうして、A姉は美人さんなのに、裏方の仕事ばっかりなんだ? 」
晴太くんが不思議そうに私をみつめる。彼も8歳ながらに、吉原の事を理解してるのだろう。
もっともだ。私の歳なら表舞台に出て、お客さんをとってもいい頃。売られた身なら、なおさら。
『それは、ね』
「大人の世界には色々あんだよ」
「銀さん! 」
晴太くんをポコンと軽くげんこつするのは銀時さん。
一仕事終えたようで、お疲れ様でした、と声をかける。銀時さんは私を見て小さく微笑んだ。
「万事屋さん。相変わらず仲良いですね」
「よぉ先生。医者が仕事サボっていいの〜? 」
「銀ちゃん人のこと言えないネ」
「アンタ目を離すといつもサボってるでしょ」
からかわれた新井先生だが、神楽ちゃんと新八くんに言い負かされる銀時さんをニコニコして眺めている。
この光景を眺めるのが好きだった。
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時