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第38話 お兄ちゃんとは ページ39

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「あのお店から出てくるお姉ちゃんを

おじさんのところへ連れてきてくれるかい? 」


建物の物陰、人から隠れるように男は少年に声をかける。少年と呼ぶにはまだ幼い。カケルは大きな瞳を揺らして、男をじっと見つめる。
どういった意図で、そんな頼み事を自分にするのか? なんて事はどうでもよく、カケルはただ純粋に早く母親に会いたかった。


「おねえちゃんよんだら、ママに会える? 」


繰り返された言葉に男は大きく頷く。
母親に会えるならと、言われた通り店から出てくる少女に声をかけようと物陰からカケルが走り出した時だ。



「待ちなよ。少年」



小さな体はいとも簡単に抱え上げられてしまった。カケルは予想外の出来事に目をパチパチさせ、自分を抱えている人物を不思議そうに見上げる。



「こんな状況でも泣かないなんて、将来が楽しみだね」

「な、なんだテメェは‼ 」

「通りすがりの海賊だよ」



急に現れた青年に男はうろたえた。自分の計画を邪魔するなら斬る。そんな思考に至った男は迷いなく刀を抜いた。が、すぐには動けなかった。彼の瞳は暗がりでもわかるくらい、殺気に満ち溢れ、冷たく男を射抜く。

カケルを地面に下ろし、刀を向けられてることなど、お構いなしに、分かりやすく言い聞かせるように神威は少女…Aのいる方向を指さした。




「あのお姉ちゃんに言えば、すぐお母さんに会わせてくれるよ」

「でも連れてきてっておじさんが……」

「連れてくる必要はない。さぁ、行っておいで」




有無言わせないという圧を笑顔でカケルに向ければ、不安げにチラチラと神威を見ながら歩き出す。
じゃあね〜と半ば強制的に送り出し、彼は一息ついた。男もこのままではいられない。見ず知らずの青年に計画を崩され、怒りが込み上げる。




「この野郎、勝手なことしやがって! 」




数秒の出来事。神威は今まさに襲いかかろうとした男の腕を蹴り上げ刀を奪い、両手を後ろで拘束する。うつ伏せに倒れた男に馬乗りになって、首元に刀を突きつけた。男は抵抗しようにも一連の動作が一瞬すぎて何も出来ない。



「アイツをどうするつもりだった? 」



先ほどとは真逆のゾッとするほど低い声。

恐怖で答えられないのか、言いたくないのか。男は歯を震わせるだけ。神威はさらに喉に刀を食い込ませる。わずかに血が流れ出す。男はその瞬間、命乞いをするように早口で口を開いた。



第39話 無意識の感情→←第37話 太陽の侍 夜の兎



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設定タグ:銀魂 , 神威 , 吉原   
作品ジャンル:アニメ
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月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時

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