第29話 いつも突然 ページ30
・
たどり着いた団子屋に仲良く4人並んで座る。
道ゆく人を眺めながら、3色彩り鮮やかな団子を食べれば甘い味が口に広がる。
「美味い」
『本当ですね。美味しい』
食べ終えた串を咥えて、もて遊ぶ銀時さんに同調すれば、フッと笑みを浮かべてる。
表情の意味が分からずフリーズしていれば彼の指が伸びてきて、口元をぬぐった。目線を追えば指先にあんこが。
「うめェ」
銀時さんはそれをそのまま舐めとる。
妙に艶っぽくて、みてはいけない気持ちになり、急いで目線を逸らした。
小さくお礼を言えば横でおかわり! と元気な神楽ちゃんの声。
銀時さんの代わりに財布の中身をみる新八くんを観察すれば、ダメと首を横にふる。
『お金なら私が』
「ダメだ、A。甘やかすな。
今日の全財産、アイツの胃袋を満たすだけで消えるぞ」
今日一真剣な顔で銀時さんに言われてしまい、それ以上突っ込むのをやめる。
その代わり、私の頼んだお団子を1本神楽ちゃんにあげると、飛び上がって彼女は喜んだ。
「ありがとうございました〜」
店員さんに見送られ、団子屋を後にする。
楽しい時間はあっという間に終わってしまうもので、気づけば万事屋3人は帰宅の時間。大門まで見送ろうと3人に着いていく。
銀時さんに見送りはいいと言われたが、今日は私に付き合ってくれたので、と頑固に拒否をすれば諦めたようだ。
「なんかあったら、呼べよ」
銀時さんに何度も言われ、その度に分かりました、と同じ返事をする。中々の心配性のようだ。
地上に消えく3人を手を振って見送れば、少しの寂しさが襲う。
大門から街を見渡す。大通りはお店の灯りでキラキラと輝き、その反対に裏道は闇に包まれていた。
その闇をみていると突然、急いで帰らなきゃという気持ちに駆られる。
あの人の言葉が急に頭に浮かんだ。
__ アンタは1人で出歩かない方がいい
別に誰にも追われてないのに。足が自然と早くなる。
はたからみれば何かから逃げてるみたいだ。
すれ違う人がたまに訝しげな目で私を見る。
『っとりあえず、落ち着こう』
邪魔にならないように道の端に寄り、壁に手をついて息を落ち着かせる。
もうすぐ歩けば私の家。いつも通りに帰ればいい。
小さく気合を入れ直して、歩みを進める。
「早速、約束を破ってるのかい? 」
どうしてこの人は、いつも私の意表を突いてくるのだろう。
・
482人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月夜の光(プロフ) - ありちゃんさん» コメントありがとうございます!!そう言ってもらえてすごく嬉しいです(;o;)もっと上手に表現できるように頑張ります!ありがとうございます! (2021年2月28日 15時) (レス) id: e8dd5af318 (このIDを非表示/違反報告)
ありちゃん(プロフ) - 月夜の光さんの神威が好きすぎて他の作品見れなくなりそうです!!キュンキュンします(^^)更新楽しみにしてます (2021年2月27日 20時) (レス) id: 15fe9d02c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月夜の光 | 作成日時:2021年1月2日 22時