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幸い師範は今入浴中なため、見つかることはほぼない。
私は彼らが帰ってくるだろう方向に走っていった。
その先は森で、魔獣がうじゃうじゃいることで有名だったが、私は意を決してその地に足を踏み入れた。
しばらく歩いているとどんどん真っ暗になっていく空。
あっという間に一面は闇と化し、恐怖心が芽生える。
頭上で三本足の鴉が不気味に笑い、嫌な予感までしてきた。
そんな時…
ガサッ
と近くの草むらがほんの少しだけ揺れた。
それに比例するように私もビクッと肩を揺らす。
何がいるか分からないその草むらに警戒しつつ、少しずつ距離をとる。
これは師範から教えてもらったことだ。
「よく聞け、A。
この小屋を出てすぐに大きな森が見えるだろう？
その森には決して近づいてはいけないよ。
ましてや入るなんて以ての外だ。
それだけは約束してくれ。」
ごめんなさい、師範。
約束破りました。
でも今更後悔してももう遅い。
草むらから一つの大きな影が現れる。
逃げようにも腰が引けて足が動かない。
冷や汗だけが手汗とともに地面に垂れ落ちた。
動いてはいけない。
感覚がそう言っていた。
動いたらそれが闘いの合図になりそうだから。
その瞬間ガサッと何かが動き出すと同時に角の生えた真っ黒な怪物が姿を現した。
容姿こそ図鑑などで見ていたものの、実際に見るのとでは迫力が断然異なっている。
真っ黒な体に漆黒しか映さない大きな瞳。
口だけは獲物を食していたばかりなのかその血だろう液体が口から滴り落ちていた。
それを見て一気に足が震え、身体全体の力が抜ける。
私は敵を前にしながらその場に尻もちをついてしまったのだ。
怪物はゆっくりと近づいてくる。
獲物を取り逃さないために慎重に。
私は怖くて逃げ出せなかった。
人は本当の恐怖と対面したとき何もできないらしい。
デマと思っていたそれも今日で確信へと変わった。
怪物が脚に力を入れ軽く曲げたところで最期を覚悟した。
思わず目を瞑る。
その瞬間…
シュッ……！
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きなこもち(プロフ) - ひぃさん» ありがとうございます！更新頑張りますヽ(´▽｀)/ (2021年5月29日 6時) (
レス) id: 9b397e807b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 出てくるメンバーが可愛いくて、でも真面目？な雰囲気の話もあって、めっちゃ面白いです…！続きの更新が楽しみです！ (2021年5月28日 18時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年5月4日 10時
