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私は夢を見た。
はるか昔のこと。
今では私の記憶も曖昧だけれども…。
私は白皙の魔法使いに弟子入りした。
その経緯は分からない。
しかも私は転生者だ。
前世の世界線ではありえないこと。
でも私はその夢に違和感を覚えることなく、ただ一人の魔法使いのそばに居た。
「君はいつ弟子を卒業するんだい。」
綺麗な白髪をたなびかせて女性は言った。
これが彼女の口癖だ。
『私は一生貴方についていくつもりです。』
と言うと、彼女は頬をポリポリとかいて「困ったな…。」と言わんばかりの顔をした。
それに気分を損ねたわけではないが、彼女の飲みかけの紅茶をキッチンへ片付けに持っていく。
「ちょっ…それまだ飲みかけなんだけど！」
『もう冷めてしまったので新しいの入れてきます。』
自分で自分は冷淡な性格だとつくづく思う。
子供の生意気さは仕方がないにしても、こんな可愛げのない子供になるとは私自身も思ってもいなかった。
「何年も居るのはいいんだが、ここ7年修行しても君全然魔法使えていないだろう？
お前には魔力がないんだ。」
『…。』
そんなこととっくの昔から分かってた。
でもいざ尊敬している人である師範に言われると心に刺さるものがある。
目尻に水が溜まっているのを見られたくなかった私は顔を俯かせた。
すると、直後頭に感じる微かな温もりと重さ。
彼女が私の頭の上に手を置いて優しく撫でていた。
割れ物を扱うような優しい手つきに水量が増す。
もう溢れそうだ。
「別に君を責めたかったわけではないんだ。
軽率な発言を許してくれ。」
たまに見せる彼女の口角を上げるだけの優しい笑みは私を泣かす要素には十分すぎた。
糸が切れたように一気に溢れ出る大量の涙。
止めようにも自分では止められず、それを見た彼女はポケットから白いハンカチを取り出して私の頬に押し当てた。
フレグランスのような甘い匂いに包まれ、自然と彼女の匂いと化し、心地よい感覚に襲われて安心する。
「少しは落ち着いてくれたかい？」
そっと頭に乗せられた手を退かされ、温もりが離れることに寂しさを覚える。
「さて、今日も魔法の勉強しようか。」
明るく振舞ってくれるのは彼女の思いやりだろう。
そんな彼女に尊敬の眼差しを向けながら私も修行用のマントを羽織り、師範について行った。
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きなこもち(プロフ) - ひぃさん» ありがとうございます！更新頑張りますヽ(´▽｀)/ (2021年5月29日 6時) (
レス) id: 9b397e807b (このIDを非表示/違反報告)
ひぃ(プロフ) - 出てくるメンバーが可愛いくて、でも真面目？な雰囲気の話もあって、めっちゃ面白いです…！続きの更新が楽しみです！ (2021年5月28日 18時) (レス) id: 21a845e247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2021年5月4日 10時
