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十九章 ページ19

お母様は云いました。

『妾の娘を馬鹿にするなンていい度胸だねェ。命を救うためにあったこの手だけど、夏のためにも使うンだよ。妾があんたをぶっ潰してやろうか?』

私のお母様は、お医者さんだった。
どんな難病でも、必ず治してしまうと云う伝説を持つ名医。
けれども、お母様にだって勝てない病はある。
不治の病ーお母様はその言葉を何より嫌っていた。

『糞っ!妾がもっと立派な医者だったら、あの子は生きていたのに………‼』

悔しそうに机を叩いてるお母様は、瞳に薄っすらと涙を浮かべていた。
その涙が一筋、頬を伝う。
『どうしてこの世の人は死ぬんだ⁉妾がもっと賢ければ、優梨は死ななかったのか⁉不治の病なんて嫌いだ‼何より嫌いなのは優梨を生かしてやれなかった妾自身だ……っ』

暁優梨ー
お母様が治療した、重い心臓病を患った女の子だと知った。
『優梨は、必ず妾が助けてみせます』
力強く頷いていたお母様が、今は手で顔を覆って泣いている。
お母様のせいじゃないよ、なんて言葉ほど、お母様を苛つかせる言葉はない。

私が死んだその日もー
お母様は机に突っ伏して泣いていた。
私はそれを見ていた。
『誰か………夏を返して!どうして夏を奪ったりするの⁉妾には夏しかいないのに!神様なんていないンだね!知ってたさ!いたら優梨だって、生きて………』

そこまで云って、お母様は急に叫び出した。

『優梨っ!夏うううううううううぅううう‼』

それから、私は幽霊としてあっちこっちを転々として、お母様の事なんて忘れてた。
私ー

最低だ。

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茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時

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