十六章 ページ16
…………どうしたらいいの⁉
ふよふよと浮いているおじいさんの魂を前に、戸惑いを隠せません。
いてよかったぁ!で終わらないよね、これ⁉
『仁子が、今日も悲しそうな表情をしておるのう……きっと儂が死んだせいじゃな。ああ、仁子と話がしたい……それが叶えば儂は昇天しても善いのじゃが』
「おじいさん、聞こえる?」
くぐもった声が聞こえて、思わず問いかける。ふよふよと浮いている“それ”は、驚いたように大きく揺れた。
『お嬢ちゃん、君……生きておる人間ではないな。その若さで、死んでしまったのかい?』
「ええ、まあ………そうですね」
今度は悲しげに、“それ”は小さく揺れる。
『可哀想にのう。儂みたいな爺いは構わんが、君みたいな若い子が……世の中酷いもんじゃ』
「おばあさんが会いたがっています。何とか会えませんか?」
そう云うと、“それ”は動きをぴたりと止める。私と同じ目線まで降りてきて、左右に揺れた。
『…………会えたらどんなに善いか。儂だって仁子を愛しておった。もう一度話したい。じゃが仁子は、君は視えるようじゃが儂は視えんようじゃ。話す手段がない』
「私の躰を、少しの間貸します」
思い切ってそう云う。
「だから、おばあさんと話してください」
『…………善いのか?』
おじいさんの問いに、大きく頷く。
「……………鍵寺様?」
おばあさんが、唐突に声をあげた。
74人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茉里 - ありがとうございます!続編もじゃんじゃん更新しますので……よろしくお願いします! (2019年6月4日 19時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
ク レハ(プロフ) - 完結おめでとうございます!続編のほうも応援させていただきます!! (2019年6月4日 18時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - ええ!勿論です! (2019年6月3日 18時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
茉里 - 最後まで読んでくださってありがとうございました!新作書いたらまたよろしくお願いします! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 0903b0c425 (このIDを非表示/違反報告)
カゲロウ(白ヰ迷ヰ戌)(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2019年6月3日 17時) (レス) id: 26ee7c4c14 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茉里 | 作成日時:2019年5月27日 21時