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6話 ページ6

「服なんて着れたらそれでいいじゃん」


ふふんと鼻を鳴らすと「何で得意げなんだよ」と呆れられ突っ込まれる。


「ハァー、そこだけは価値観あわねぇーな」

「そんなことないって。お金は大切だって根本的な価値観は一緒でしょ?」

「まぁな。あー、そうそう。ほら、頼んでたやつ。やってくれただろ?報酬受け取れよ」


足元に手を伸ばしては机の上にアタッシュケースが置かれる。パカリと中身を開ければ万札がぎっしり詰められていた。

緩む口元を抑えながら「ありがとう」と受け取って代わりにUSBを渡した。

そう、企業の情報のハッキングを頼んできた彼というのがココのことだ。情報を盗んで提供する代わりに大金をくれる。

この仕事が手っ取り早く大金が手に入るんだ。

こうしたビジネスパートナーとしての関係を大体五年は続けている。思い返せばとても長い付き合いだ。


「それで次の仕事もくれるの?」


机に両肘を置いて乗り出すように聞けば、彼は少し考えたのちに首を横に振って


「しばらくねぇーな。今回お前がくれた企業の情報ですることが結構あるからな」

「えー!困るんだけど。ココ以外に仕事をくれる人なんていないし」

「しばらく稼がなくても十分に食っていける金があるだろうが」

「いやいや、貯金は絶対崩したくないし増やし続けないと!」

「どこまで増やし続けんだよ。まぁ、分からないこともねぇーけどな」

「でしょ!さすがココ!」


ガシッと手に取れば「馴れ馴れしい」と払われるものの力加減されている。それになんだかんだ言いつつも


「まぁ、お前の仕事探しとくからちょっと待ってろ」


フッと笑みをこぼす彼は優しいと思うのだ。


そんなココとの出会いは単純だ。


両親の死んだ後に施設に送られた私は学力よりも生きていくための知識。金を稼ぐための能力を磨いた。

幼くても大人と対等になれるところ。それはインターネットの世界。そこでは情報が何よりも重宝されていた。必然的に情報を盗んで売る仕事がベストだと考えて孤児にあったパソコンを隠れながら使い、施設を出た後でもし続けるうちにネットの世界で私の存在が有名になった。

そんな時にココがコンタクトを取ってきた。

取引の額が今までの客と桁違いだったからビジネスパートナーとして繋がったのだ。

ただお金と利益で繋がったもの同士だけど、実際会ってからは互いにとても気が合った…はず。信頼できる唯一の人だって思えるほどには。

そう、私が思ってるだけなのかな。

7話→←5話・ビジネスパートナー



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Omiso(プロフ) - 十六夜夏希さん» コメントありがとうございます!好きだと言っていただけてとても嬉しく思います!また、書き終わってしばらく経った今でもこうしてコメントを頂けること幸せです!本当に最後まで読んで頂きありがとうございました! (2022年4月30日 14時) (レス) @page38 id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
十六夜夏希(プロフ) - マイキーが春千夜を見放す(?)のって珍しいですね!言葉では表せないくらい好きです。お疲れ様でした!! (2022年4月30日 13時) (レス) @page39 id: cc6ab814ba (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ゆゑるさん» コメントありがとうございます!わわっ!たくさん褒めていただいてとても嬉しいです😊何より貴方様を楽しませられたことが作者にとって一番の幸せです😭本当に最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年4月12日 8時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゑる(プロフ) - うわぁぁぁ!!今読み終わったんですけど、最高ですっ...!作者様の表現の仕方からもう素敵でした😭めちゃくちゃ面白かったです!!!!! (2022年4月12日 1時) (レス) @page39 id: 1d05848943 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - yumuiさん» コメントありがとうございます!隠れ主人公!確かにそういった捉え方もありますね…貴方様の発想に驚かされました。作り手としてしっくりときたお言葉をいただいて嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年3月7日 16時) (レス) id: 6bf568ad42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2021年10月16日 17時

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