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41話 ページ41

警告音が校内に鳴り響く中、私は空に浮かぶもの…呪霊に釘付けだった。

フワリと呪霊は屋上に降り立ちそれを操作していた人物が私の目の前に立つ。

暑い日差しの中、彼は涼しそうに笑顔を浮かべていた。


「A、ただいま」

「夏油…先輩…なんでそんな…血だらけで…ッ」


真っ白なシャツにべチャリとついた赤いものは血以外ありえない。それが夏油先輩の血ではない事は平然と笑顔を浮かべている時点で分かってしまった。


「あ、汚いよね。ごめん。落とす暇もなかったんだ」


そんなこと聞いてない。けど追求すれば後戻りが出来ない気がした。それに胸騒ぎがして止まない。夏油先輩の最近沈んでいた顔がスッキリしているのだ。


「と、とにかく夏油先輩が帰って来たことを報告に」


理由をつけてこの場から離れないと。直感が訴えている。すぐに屋上の出口へと向かおうとするが、


「待って」


低い一声と共にザッと目の前に立ち塞がれる。


「その必要はないよ。それよりA。行こう」

「ぇ?」


血だらけの手を差し伸べて笑顔を向けてくる彼に一歩下がる。行くってどこへ?


「もう高専に私は戻らない。親も非術師も殺した」

「…ハッ、なに言ってるんですか。冗談ですよね」

「冗談じゃないよ。後戻りはできない。そしてA。君もだよ。私と来るんだ」


ジリジリと近づいてくる彼に反射的に背を向けて逃げる。だが高いフェンスが立ちはだかる。

すぐに体の向きを変え駆け出そうとするが、ガッシャャン!!!と大きな音を立て逞しい腕に両側を塞がれた。

そんな目の前の彼から笑顔なんてものは消えていた。


「今更逃げられるとでも?もう君は私のものなんだ。ねぇこの半年間どうだった?沢山私なりに君に愛を与えつもりだ。君はそれに甘えて私を悟を忘れる為に利用したよね?今、その利用したツケを返してよ。このままじゃ不平等じゃないか。私はただ君が欲しいだけなんだ。悟よりもずっと君のことを想ってる。ねぇ、聞いてるの?黙ってないで応えて。A、誰よりも君を愛してるんだ。だからお願い。愛の証明として私についてきて」


こんなに大きな感情を半年間、いやずっと前から夏油先輩は持っていたのかもしれない。私に向けていた。


重たい。とても抱えきれない。


もし利用してきた私の罰がこの愛を受け入れるということであれば…ごめんなさい。

私にはその愛は到底受け入れられるものではない。


「〜ッ嫌だ!!!誰か…誰か助けて…ッ…!!!」

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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時

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