28話 ページ28
貴方サイド
一日の授業を終えて放課後。教室の窓から差し込む夕日をボーッと眺める。
夏油先輩のアドバイスを無視してしまったのはもうこの際仕方がない。
むしろ、伝えたいことを言えて少しでも五条先輩の心に届くきっかけになってくれたらいい。
この機に明日から何か変わるだろうか。いいや、きっと変わる。根拠もないけどそんな気がしてならない。
湧き上がる希望に自然と口角があがった時、ガラガラと教室の扉が開く音。そちらに顔を向けると
「Aちゃん。今日もお疲れ様」
パッと手を上げて笑みを浮かべる夏油先輩の姿があった。
今日のアドバイスの結果とまた新しい助言をしてきてくれたのだろうか。
扉からゆったりと私の隣の席まで歩んでは席を引いてそっと座る。
「よし、今日の結果より先に新しいアドバイスをしようか」
「!…はい」
アドバイスを無視したことバレていないのだろうか。顔色を伺うが別に変わった様子はない。
「これで最後のアドバイスだよ。五つ目はね…」
スッと目を細めては夏油先輩はフッと微笑む。
「Aちゃんの想いを伝えてごらん」
「え?告白ですか…」
「そうだよ。あとねAちゃん。今日…悟と関わったよね?」
グッと低くなった声に息が詰まる。
バレていた。
でもなんでバレたの?あの時は周りに人はいなかったはずなのに。いいや、今はそんなことより…ッ
勢いよく頭を下げて
「ご、ごめんなさい!」
しばらくの沈黙が続いたあと、上から降って来たのはとても優しく落ち着いた声。
「謝らなくていいよ。君は何も悪くないじゃないか。これぐらいで私は怒らないよ。だから、ほら顔を上げて。ね?」
恐る恐る顔を上げると本当に怒っている様子はなく、ホッとする。
そしてやっぱり気になるは私が五条先輩と関わってしまったこと知ってること。もしかして五条先輩に聞いたとか?
「…あの、五条先輩から聞いて知ったんですか?」
「いいや?悟からは何も。でも何か考え込む様子があったから悟が悩ますことなんてAちゃんぐらいかと思ってね」
それで私が五条先輩に関わったと推測した夏油先輩に頭が切れる人だと感心すると同時に納得した。
夏油先輩は親友の五条先輩のよく見ている。だから、些細な変化にも気付いたんだ。
そんな彼のアドバイスは今までもこれからも間違っていないと信じられる。
「先輩、私明日五条先輩に告白します」
「!いい決断だね。頑張ってきてね。応援してるよ」
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時