21話 ページ21
貴方サイド
______
「好きです、五条先輩」
「やめろ」
「なんで受け入れてくれないんですか」
「黙れよ」
「私のことをどう思ってるんですか」
「別なんとも思ってねぇーよ」
「どうして…ッ…」
「もう女の好意なんてうんざりなんだよ。俺の何が好きなんだ?顔か?権力か?ステータスか?表面上しか見てないくせに好きなんて言うな。本当に好きなら、俺のため思うなら…もう何もいうな」
「違います!!私はただ…ッ…!」
「なぁ、分かれよ…分かってくれ…ッ…A」
______
パチリと目が覚めてムクリと起き上がる。ふと時計を見ると夕暮れの時間。
「あれ…」
頬に違和感があるな と触ってみると涙がこぼれていた。そして、ジワジワと思い起こされる先程の夢。
「(分かってくれ…ッ…A)」
最後にそう告げて五条先輩が顔を歪ませ、懇願する姿が頭から離れない。
なんで夢でも鮮明に貴方は私の中に存在してしまうのだろう。五条先輩、貴方にとって______
好きという言葉は拒絶したいものなのか。それとも、ただ好きという真意と向き合うことを拒んでいるだけなのか。
どちらにしたってその壁を私が壊したいといったら?壊してしまえば受け入れてくれるの?
「分からないよ…五条先輩…ッ…」
縋るよう名前を呼んだ時、コンコンッと思考を止めるドアのノック音。
もしかして…!と涙を拭いて急いでドアを開けると、
「Aちゃん、ぐっすり休めたかい?心配で見に来ちゃった」
夏油先輩がコンビニの袋を片手にそこにいた。
五条先輩じゃなかった…と落胆する気持ちを他所に夏油先輩は何処か上機嫌に
「甘いものは好きかい?色々買ってきたんだ」
そういって袋を掲げる。五条先輩じゃなかったからって勝手に落ち込むなんて失礼だと気持ちを切り替え、ペコりと頭を下げる。
「ありがとうございます。せっかくなんで部屋上がってください。お茶用意します」
「…いいのかい?」
「ここで立ち話するのもなんですし」
「ならお邪魔しようかな」
部屋に誰かをあげるのは初めてだな と思いながら後についてくる夏油先輩をちらりと見ると、目が合ってニコリと微笑まれる。
どう返せばいいか分からず目を逸らそうとした直後、不意に顔の方に伸びてくる手。
反射的に後ずさろうとすると「待って」と手首を掴まれて引き寄せられる。
そして、伸びてきた手は目元に触れてそっと親指でなぞり
「もしかして泣いていたのかい?」
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Omiso(プロフ) - 緑の白猫さん» 前作でも今作でもコメントありがとうございます!ドロッドロという素敵な褒め言葉、最高に嬉しいです!心情は特に意識しているのでそう言って頂けて光栄に思います!次回作を出せれた時はぜひ応援よろしくお願いします!最後まで読んで下さりありがとうございました! (2021年4月5日 14時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - ドロッドロでおっもい(超褒め言葉)好み過ぎる作品をありがとうございました! 前作も読ませて頂きましたが、どちらも心情描写が堪らなく好きです。作者様のペースで新しい作品を作って頂ければ飛びつきます。本当にありがとうございました。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - ノアさん» 最後まで読んで下さりありがとうございました!いつもは今までの作品も読んで下さっていたのかな?今作も読んで頂き嬉しい限りです!世界観を味わってもらうよう文は意識しているのでハラハラしたという感想を頂けて大満足です!今後とも応援よろしくお願いします! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - muuさん» muu様!またのコメントありがとうございます!そして最後まで読んで下さりありがとうございました!憧れである貴方様に素敵な褒め言葉を頂けて感涙してしまいそうです(泣)いつも影ながら応援しています!そしてこの作品を応援して下さり本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
Omiso(プロフ) - 虹野原さん» そして貴方様のような素敵な方に読んでもらえて心の底からこの作品を作ってよかったと思います!今後においてまた作品を作る機会では貴方様の応援を糧に全力で頑張ります!本当にありがとうございました! (2021年3月21日 21時) (レス) id: 00c4677ab1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Omiso | 作成日時:2021年2月6日 18時