気づいた時にはもう遅いから【呪術廻戦】

17話 ページ17

五条サイド


「なんで…分かり…ませんよ…ッ…」


そう言ってポロポロと涙を流すAに動揺する。


「…ッ俺だって分からねぇーよ。お前のことが」


お前の変わりようも、態度も、声も、顔つきも、さっきの匂いだって


今まで捨てた女と全く一緒なんだよ。


泣いている目の前の彼女がザザッと昔の女に重なる。


「(悟くん…ッ…なんで…わかんないよ)」


煩い。何が分からないんだ。何で泣くんだ。面倒くさい。


「(悟くんってほんと顔が綺麗。すごく好きだよ)」


俺は顔だけか？それは好きと言わねえーんだよ。勘違いすんな。


「(悟くん…全然私のこと見てくれない)」


当たり前だろ。所詮遊びなんだから。お前もそんなもんだろ？


「「「(悟くん、大好きだよ！)」」」


やめろ…やめてくれ…ッ…もううんざりなんだよ…ッ

女の好意ほど、不快で、気持ち悪くて、吐気がする。

そう思う俺は世間一般的にクズと呼ぶだろうがどうとでも言え。だって今までの女は ＿＿＿＿＿＿＿


好きだなんて平気で嘘をつく。

何とも思ってなくても擦り寄ってくる。

何も知らないくせに知ったような口を利く。


ただ体を重ねたぐらいで、顔を一目見ただけで、少しの付き合いで「好き」という言葉を吐き出す女の心情が理解できない、信用できない。

当たり前の判断だろ？そんな軽率に吐いた想いに惑わされねぇーよ。


…なぁ、A。お前もその一人なのか？


そうなれば俺はきっとお前を心底嫌いになる。気持ち悪くなる、信用できなくなる、もう…構えなくなる。

それなら、互いがその一線を超えずに先輩、後輩という関係でいるのが一番いいだろ。


適当な好意を向けられることが決して怖いとかじゃない。きっと、きっと…そうだ。うんざりなだけだ。


だから、お願いだからA。お前はずっと俺のお気に入りのおもちゃのままでいてくれよ。

そっちの方が長く仲良くできるだろ？楽だろ？愉しいだろ？


「泣くなよ…A」


未だ泣く彼女に手を伸ばし、頬に手を添えてグイッと拭ってやるとこちらを見上げる彼女とバチリと目が合う。

微かに紅潮する頬、好意が垣間見える熱のこもった視線。バッとすぐに手を離し、一歩下がり距離を取る。


「ッ…」


そんな女みたいな顔すんな。名残惜しい目で見るな。今までみたいに無表情でいろよ。俺をそういう目で見るなよ。

所詮、お前も俺の表面上しか見てないくせに、何も想ってないくせに、


好意なんて寄せるなよ。

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