この悪ガキども…… ページ10
私はゆらりと立ち上がり、幼児二人の頭上に影を落とした。
「どうしてくれる?」
「うう……」
コノハヅキさんもリーオックさんも、瞳を揺らがせて椅子に身を縮めた。
でもその様子を見るだけではとても怒りは収まらない。
あの素晴らしき朝ごはんをよくもよくも……
私の愛しきバターロールをよくもよくも……
私は、リーハ君の「ひいい」というか細い悲鳴をBGMに、二人に一発ずつゲンコツを落とそうとした。
が、その時。
リーオックさんが、突然私の背後を指差して叫んだ。
「な、ナナミ!あんなところに死体がある!」
コノハヅキさんも驚いた顔をして叫んだ。
「ほんとだ!ちだらけ!」
「えっ、」
私はギョッとして振り返った。
ところが。
後ろには何もない。
キッチンはもちろん、居間の方も見たけど、死体なんてどこにもない。
「ど、どこよ……」と言いかけて気づいた。
これは嘘だ!
なに騙されてんのよ、私!
テーブルに向き直ると、案の定リーオックさんとコノハヅキさんは姿を消していた。
「あんのガキャーーーーー!!どこいったーーーー?!」
私は悔しさに思わず椅子を振り上げ、テーブルを破壊……しそうになった。
すると、側で「ひいいいいい」という悲鳴が聞こえた。見るとリーハ君が壁に張り付いて私の行動に怯えていた。
「あ、あの、リーオックさん達は居間の方に……」
「OOOOKKKK」
私は低い声で答え、大股でダイニングルームを横断した。
居間へ入った途端、私の目の端で何かが動いた。
やはり、二人は居間に潜伏しているらしい。
さっと首を回すと、ソファの影に黒い服の裾が見えた。
………もらったわ、この勝負。
私は忍び足でソファに近づき、上から掴みかかった………が、そこにあったのはリーオックさんの上着だけ。本体はいない。
「クッソ……」
上手く嵌めたわね。
怒りで我を忘れる前にと、私は深呼吸をした。
我を忘れるのは、あの二人を捕まえてからで良い。
再び意識を集中させると、背後で何かが横切った気配があった。
ぱっと私は振り返る。
すると、階段の脇の黒電話が置かれた台の周辺でオリーブ色の服の裾が微かに動いていた。
…………今度こそ、やったるわ。
私は一気に走って近づきオリーブ色の服を掴んだ………が、その服を着ていたのは、あの気持ち悪いフランス人形の「マリーちゃん」だったのだ。
しかも。
ギョッとして立ちすくんだ私に、マリーちゃんは「シャアアア……!」と威嚇しながら飛びかかって来た。
6人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷兎 - シャーロックさん» それはない、え、てか二人が言うこと聞くとか明日地球滅亡するの?? (2021年1月31日 21時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - 冷兎さん» ふふふ、ナイスなのはレイトの絵がすっごくかわいいからだよ! (2021年1月31日 15時) (レス) id: 9c59d2a140 (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - 姉貴…ここであの絵を取り入れてくんのと青葉入ってくんのナイスすぎる (2021年1月31日 1時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - 冷兎さん» もうめっちゃくちゃだねwこれが本当のクレイジーDAYS☆ (2021年1月29日 21時) (レス) id: 9c59d2a140 (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - シャーロックさん» あ、俺よりヤバイ人出てきてはるんですけど??え、ちょ、らんn((ナナミぃ!サンクチュアリ燃やして彼女と一緒に日本に帰って来い!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:シャーロック | 作者ホームページ:https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時:2020年12月22日 22時