“俺たち ” ページ10
▹▸影山
遠くで人の声が聞こえる中、
ジャーと勢いよく水が流れる音が長い廊下に響き渡る。
水道の前にかつての仲間の姿をみつけ、ふぅーーっと大きく息を吸い込む。
影山「・・・・・・金田一」
金田一が無言でキュッと蛇口を捻ると、余計にあたりの空気が重く伸し掛かってくる。
警戒、緊張、色んな感情が混じった視線がぶつかる。
ーー「俺達はもう影山には限界なんです。
いくら個人の攻撃力が高くても
明らかにチームの足を引っ張ってます。
居ない方が助かる。」
あの時の事が鮮明なまま頭ん中に浮かんでくる。
俺の上げたトスの先には誰もいなかった。
でも今日、俺の上げたトスの先には日向が“居た ”。
自分に足りないものをどこまでもウザったい月島や日向に思い知らされた。
謝ったって過去は変えられないし戻れねぇ。
それは知ってるつもり。
ゆっくりと顔を上げ大きく口を開く。
影山「・・・・・お 「謝ったりすんなよ!!!!」」
?!
金田一「俺も謝んねぇ!」
影山「・・・・・・おう。」
金田一の声が木霊する。
その声が辺りに響き渡るようにビビッと身体に溶け込んでく。
金田一「お前は俺ん中でこれからも横暴な王様でムカつく奴で最高にブッ倒したい相手だ!」
・・・・・・
なんかウザイ気配を感じ、振り向くも後ろには誰もいない。
一瞬、オレンジが見えた気がするけど、もう一度金田一に向き直る。
金田一。
かつての仲間、今は敵の名前を呼ぶ。
言いたいことは一つだけ。
影山「次も勝つのは俺たちだ。」
一瞬驚いた顔を見せた金田一の横を通り過ぎる。
及川さんを見て、余計に自分の無力さを目の当たりにした。
まだ。まだ足りてない。
前へと上へと進む足を止めてなんか居られない。
進まなきゃ行けない。
ーーーーー
金田一side
背を向け歩き始めた影山とその隣を歩く日向。
国見「・・・何話してたの」
金田一「・・・影山。“俺たち ”って言ったよ。
いっつも“俺は ”“ 俺が”って1人で戦ってるみたいな言い方してたくせに」
“ なんか悔しいな”
「あだっ?!何だよ!!」
無言で叩く国見に叩かれた所は痛かったけど何処か心地よかった。
ーー多分、国見も俺と同じだったんだ。
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時