根拠なんていらない ページ9
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試合が終わり、武田先生の元へみんなが集まる。
ーー今、何が起きたのか。飲み込むまで時間がかかった。
あの“烏野 ”が練習試合と言えど、及川さんが途中参加だったけど、“ 青葉城西”に勝った。
どんな形でも勝利は勝利。
自分自身、仲間との力で掴み取ったモノ。
武田「今この瞬間もどこかで
世界を変えるような出会いが生まれていて
それは遠い遠い国のどこかかもしれない
地球の裏側かもしれない。
もしかしたら・・・東の小さな島国の北の小さな片田舎の
ごく普通の学校の
ごく普通のバレーボール部かもしれない。
そんな出会いがここで・・・烏野であったんだと思った。
大袈裟とかオメデタイとか言われるかもしれない。
でも信じないよりはずっといい。
根拠なんかないけど きっと、これから、
君らは 強く 強くなるんだな。」
楽しそうに真剣に、興奮した様子で言葉を紡ぐ先生。
何気ない言葉かもしれないけど、意味が分かるまで時間がかかるかもしれないけど、先生の言葉はゆっくりと、でも確実に私たちの心へ溶け込んだ。
オレンジ君と影山はポカーンって顔をしてるけど、キャプテンや菅原さん、清水先輩たちは嬉しそうに歯痒そうに笑ってた。
武田「ごめんっ!ちよっとポエミーだった?!引いた?!」
澤村「いやいやいやそんなことないです!」
我に返り慌てる先生をキャプテンがフォローして部員がお礼を言いって頭を下げる。
澤村「集合ーーっ」
「「「「「「オース!!!」」」」」」
集合の合図がかかり、みんながキャプテンの方へ走る。
嬉しそうな顔、悔しそうな顔、
みんなそれぞれ抱えてる感情は違うかも知れないけど
清々しいくらい楽しそうで。
強くなるのに理由なんていらない。
上を目指すために理由なんていらない。
根拠なんていらない。
みんなが上を目指してる。
武田「早く技術を教えられる指導者を見つけないとな…」
指導者か……
何となく繋ちゃんの顔が思い浮かんだ。
まぁ、俺はそんなに大層な人間じゃないとか言いそうだけど。
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時