ぎこちない笑顔 ページ6
▹▸清水
清水「……はぁ、」
菅原「?どうした清水?」
心配してくれる菅原に何でもない、と、小さく答える。
「行ってらっしゃい」と、笑顔で奥村ちゃんを送り出したものの、心配で堪らない。
2人を包む雰囲気は何とも言えない感じ。
2人が何を話してるのかも気になるけど、スコアとか試合の様子とかを記録してるとそれどころじゃなくなる。
力強く床を蹴るシューズの音とボールを繋ぐための声と状況を伝える声と、色々な音が重なる体育館。
その隅で手を取りAちゃんを愛おしそうに見詰めて笑う青葉城西の主将。
二人の関係は全く分からないけど、青葉城西の主将の方がAちゃんに好意を寄せているのは伝わる。
菅原「・・・・・・おい?烏野1点入ったぞー??」
清水「…ぁ。ごめん。ありがと。」
慌ててノートに記録するも頭の中はAちゃんでいっぱい。
ピーッと笛がなり青葉城西の選手交代。
青葉城西の主将がin??
確かあの人って…
清水「あれ?あの人って捻挫してたんじゃないの?」
A『ピンチサーバー……だと思います』
隣に腰を下ろしながら、遅くなってごめんなさい、と謝るAちゃんにノートを手渡す。
田中が中指を立てているのを澤村がゲンコツで抑えていると、“繋げなきゃ意味無いんだよ? ”とネット越しに月島を指差す。
月島狙いって事……??
ピッと短い笛の音の後にはドスッと鈍く重い音が体育館中に響く。
月島「ッ・・・・・・・・・」
青葉城西の主将は、ほぼ宣言通りに月島を見抜いて見せた。
珍しく少し悔しそう?な顔を見せる月島に若干驚きつつも相手のサーブに気を奪われてしまう。
ーーこれが青城の主将…!!
A『さすが及川さん……』
影山の上を行く威力と圧倒的なコントロール。
驚く私の隣で小さく感嘆の声を漏らすAちゃん。
ーーだから。
しまった、と思った時には思わず聞いてしまった。
清水「Aちゃんって青城の主将と仲良いの??」
A『…ぇ?あっ、えっと…ハイ……』
そっか。
短い会話とも呼べないような会話が終わればまた沈黙が広がる。
慌てて取り憑くったように、えへへと笑ってみせるAちゃん。
やっぱりどこかぎこちなく笑ってる。
その笑顔は何故か心に引っかかった。
221人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時