【HQ】隣の王様くん【影山飛雄】 (ページ5)

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掻き乱すページ5

▹▸A

及川「おっ、烏野マッチポイントか。そろそろ及川ｻﾝの出番かな。____アップ終わりました〜」

スルリと私の心の中に入って掻き乱してく及川さん。

普段は掴みどころなんて無い人なのに真剣な時は真剣で。

ピーーーッ！！！

及川「Aちゃん。俺は変わったよ。あの時のままじゃない。でもAちゃんへの気持ちは変わってないから。」

そういって愛おしそうに微笑み、私の左手を撫でる。

その笑顔は、私がバレーを辞めると伝えた日に及川さんが見せた笑顔。

あの時も今みたいに「好き」だと言ってくれた。

トクリと、心臓が跳ねる。

チクリと心の奥が痛む。

青葉城西高校選手交代

in 13番及川

out 7番国見

いくら軽い捻挫と言えどほぼ治ってる状態。

そして及川さんの事だから。

きっとーーー。

烏野を掻き乱してく。

弱い所をついて崩していく。

叩いて落とす。

清水「あれ？あの人って捻挫してたんじゃないの？」

A『ピンチサーバー……だと思います』

清水先輩の所へ戻り記録ノートを受け取りながら隣に腰を下ろす。

ネット越しに田中さんが中指を立てキャプテンからゲンコツをくらう。

明らかに及川さんに対しての警戒心バリバリの影山とオレンジ君は、それぞれ警戒の仕方は違えどその目はハッキリと及川さんを見ている。

それを見て満足そうに不敵に笑う及川さんは多分、

及川「いくら攻撃力が高くてもさ･･････」

今の烏野に足りない事を知っている。

及川「その“ 攻撃”まで繋げなきゃ意味無いんだよ？」

たったほんの少しの時間で見抜いていた。

それだけじゃない。

烏野自身がそれを自覚していることも見抜いていた。

その証拠に

及川さんはボールを持ったままメガネｸﾝを指さし笑って見せた。

頭から冷水を浴びせられたように一瞬で足の先っぽから手先、頭の芯まで熱が引いていく。

“お前に打つぞ ”

言葉にしなくても空気だけで伝わる。

笛がなると同時に及川さんはシューズをキュッと鳴らし駆け出し、大きく上へと挙げたボールを空中で右手で捕える。

ドスッと大きく鈍い音が体育館へ響く。

メガネｸﾝ目掛けて真っ直ぐ突き刺さる。

烏野を掻き乱すのには十分すぎる1本だった。