ひとりじゃないよ。 ページ28
()
先生「俺は一旦職員室行ってくるから、ウォーミングアップ終わったら紅白戦始めといてくれ。」
体育の選択授業のバレー。
体育館を端から端まで贅沢に使える。
そんな中、体育館の隅っこでボールに触ることを拒み、いつまでもストレッチをしている親友に目を向ける。
()「・・・A〜??」
A『…ぇ?あ、うん…どうしたの?』
さっきからずっとこの調子。
てゆーか最近のAはバレーを辞めた頃に戻ったみたいに抜け殻状態。デコピンしたら吹っ飛んで行きそうなくらいヒョロヒョロ。
で。Aの隣の席の影山もなんか暗いしAは影山の事避けてる?っぽいし。メガネクンこと月島ともピリピリしてる感じすらする。
A『…帰りたい。』
()「ハイ。この授業始まって15回目の帰りたい。」
影山と何かあったのは確実。
それが何か、なんとなく察することは出来る。
でも、Aから何も相談してもらってないし、アクションやSOSを起こされてないから余計に何も出来ない。
A『・・・好きってなんなのかな…』
……え??
A『…影山にね。''好き''って言われたの。嬉しかった。でも……哀しかった。』
A『影山が好きなのは昔の私。今の私じゃないの…っ。
もう、自分がわかんないよ…』
過去に背を向け続けて自分自身を見失ってしまったA。
ねぇ。今なら言えるんじゃない??
あの日。
全てを失い全てに背を向けたAに言えなかったこと。
大事なものを失い、自ら切り捨てたこの子に。
伝えたいこと。全部全部。
語彙力とか関係なしに私の言葉で。
()「何言ってるの??AはAだよ??
バレーやってないからAじゃないの??
苗字が変わったから違う人間になるの??
いつまで後ろばっか足元ばっか見てるの??」
A『っ!!でもっ!!皆が求めてるのは今の私じゃない!!皆して水瀬、水瀬って!!』
目を大きく見開いて私を見つめるAと大声に反応してシーンと静かになる体育館。
()「いい加減前見てよ!周りに見てよっ!!
アンタはひとりじゃないっ!!
何で自分から不幸になろうとするの?
不幸って決めつけるの?
私のせいで迷惑かけたくないって?
笑わせないで!」
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時