正義なんてない ページ26
A
A『…メガ、ネクン!…ねぇ!メガネクンってば!!』
無言で私の手を引き体育館をでるメガネクン。
何度呼びかけても長い足でスタスタと歩き止まる気配すらない。
後ろで影山が何かを言っていたけど上手く聞き取れなかったし、振り返る勇気がなかった。
メガネクンに連れてこられたのは入学式の日、()と立ち止まってグラウンドを見つめた桜並木。懐かしいなんて悠長なことをオチオチ考えてられる状況じゃない。
やがて乱暴に私の手を放し、やっとこっちを見るメガネクン。
月島「君は…''水瀬''Aなの??」
前置きのないストレートな質問。
疑問系な筈なのに確認されてるように感じるくらい圧があった。真っ直ぐに私だけを見詰め、少し苦しそうに眉を曲げるメガネクン。
ッ・・・。
月島「・・・はぁ。質問変える。君は
ーーーー水瀬Aでしょ?」
段々メガネクンの行動の意味がわかんなくなる。
何で踏み込もうとするの?
A『・・・もし…私が''水瀬A''だったら何かあるの?』
月島「…ッ!別に何も無いケド…!」
A『じゃあいいじゃん!!ほっといてよ!
何でそんなに突っかかってくるの?意味わかんないよ!』
もうやめてよ。
君には関係ないでしょ?
月島「じゃあ!何でバレーをそんな嫌がるのさ!
何かあったんデショ?何で1人で抱え込もうとするわけっ?
1人で抱え込んで背中向けて。無理して笑って。
誰かによりかかれば?誰かを頼れば??」
そんな事…
A『出来るわけないでしょ?!もし寄りかかったとしても寄りかかった人が私のせいで倒れたら?
私は笑いたいから笑うの。笑ってなきゃいけないの。
バレーが何?たかが部活なんでしょ?
楽しむ部活でも所詮勝てなきゃ意味ないんでしょ?
才能だってセンスだって肩書きだって。
どんなに磨いても努力しても上がいるの。
てっぺんなんて取れやしない。
周りは結果しか見てくれない!
ズルしてる人が評価されてる。
必死に頑張った人がバカにされる。仲間外れにされる。
好きだけじゃ何も出来ないっ!!』
正義なんて口だけだ。
正義を唱えて猫かぶって。先生も見て見ぬふり。
笑顔で離れてく上辺だけの同情。
そんなものは要らなかった。
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時