弱い所を ページ11
▹▸A
「挨拶っ!!!」
「「「「「ありがとうございましたーーッ!!!」」」」」
選手同士が向き合い握手を交わす。
特に関係ない私はなんとなく清水先輩の陰に隠れてた。
顧問同士も握手をしてたけど、武田先生のペコペコの速度と数が尋常じゃなかった。
青城に背を向け、バスへと歩く皆の後ろを清水先輩と並んで歩き、長く伸びた影をぼんやりと見つめてた。
終始無言だったけど、各々何かを考えてるみたいで雰囲気は来た時よりも堅くてひとつに重なって見えた。
澤村「・・・武田先生は ああ言ってくれたけどーー」
キャプテンがゆっくりと話し始めたけど、
私の頭の中はぼんやりしたまんま。
自分自身が分からない。
抜け殻みたいだけど中身は詰まってる。
けど、薄っぺらくて軽い。
でもずっしり重くて身動きがとれない。
清水「Aちゃん。さっきからボーッとしすぎ。」
A「ぁ、ハイ、すいません!」
人差し指でコツンと額をつつかれ我に返る。
私が謝ると満足そうに笑ってくれた。
それがなんだか嬉しくて私もニッコリ笑う。
あー。清水先輩、天使。
暫く見蕩れていると清水先輩の笑顔が突然、困った顔へと変わる。
??
清水「・・・青城の主将」
清水先輩の視線を辿ると、オレンジ君に笑顔で話しかけてる及川さんが目に入る。
及川「小っちゃい君 最後のワンタッチと移動攻撃凄かったね!」
日向「え”っ??」
まさか褒められるとは思ってなかったのか濁った声で驚いてみせるも、褒められたことが相当嬉しいのかニマニマして喜んでる。
及川「今日は最後の数点しか戦えなかったけど・・・次は最初から全開で戦おうね。…あ、そうそう。」
余裕そうに、あははと笑う及川さんはメガネクンとオレンジ君にほほ笑みかける。
及川「サーブも磨いておくからね。」
その一言で一気に烏野の空気が固くなり、緊張が走る。
そうだ。
及川さんは最後のちょっとしか出てなかったんだった。
烏野ので例えると影山が居なかったようなもの。
本当ならあのサーブが試合の最初から炸裂するんだ。
事実を並べ及川さんは弱い所を見透かしたように話を続ける。
しかも、烏野自身が分かってる弱い所を確実につく。
でも、わざと壊れないようにゆっくりと。
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作者名:ツナ缶本仕込み | 作者ホームページ:http://@ya love
作成日時:2021年10月1日 20時