玖 ページ9
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最終選別が終わり、私達は鱗滝さんの元に帰った。
鱗滝さんも真菰ちゃんも、涙で迎えて呉れた。
其れも其の筈、錆兎君から手鬼の事を聞いたから、余計に鱗滝さんの気持ちが判る。
手鬼の事は、鱗滝さんに云うのは阻まれるので、義勇君と真菰ちゃんにだけ話した。
二人共、泣いていた。真菰ちゃんは勇ましい事に、来年は絶対に斬るね、と云っていたが、無理はしないで欲しい。
其れからはトントン拍子で、もう初任務になってしまった。
鱗滝さんから頂いた厄除の面を付け、支給された隊服(滾るやつ)を身に纏い、選んだ玉鋼で打ってもらった日輪刀で鬼を狩った。
隊服は胸元が開いていたり、スカァトの丈の長さが異常に短かったりしたが、機能性は充分在った。
砂色に変化し、何だか微妙な色変わりの刀は、見た目に反して鬼を尽く切り刻んで呉れた。
大怪我して蝶屋敷の美しい女性達に叱られる事も在ったが、寧ろご褒美だった。
取り敢えず、人を救う為と思えば、寝る間も押しんで鬼を殺せた。
遂には、錆兎君達よりも早く階級が上がって柱……虚柱にも成れた。
でも、何だろう。
人を救って感謝されても、十二鬼月の一匹を倒せたとしても、私には虚無感しか残らなかった。
私が鬼殺隊と成ってから約一年後、あれだけ強くなった真菰ちゃんは帰らぬ人となってしまった。
其れからだった。
私は今まで、忙しさや何やらから辞めていた自害行為を、また始めていた。
其れも、前よりも酷く、苛烈に。
首吊りなどの頸に在る痕や手首に在る切り傷の痕も、もう消えなくなってしまった。
ねぇ、織田作。
確かに、ポートマフィアに居た頃よりも人を救う事は素敵だと思えるし、やり甲斐も感じている。
けれどね。
矢っ張り、私の生きる理由が判らない。
虚無が私を、離して呉れない。
* * *
私が柱に成ったのは、十五の時だった。
体力は鬼殺隊の中でも中の下くらいなのだが、私は呼吸の扱い方や頭脳で柱と同等の力を得ている。
この時は柱として最年少とも云われたし、頭脳的な面でも賞賛された。
そう云えば、初めての柱合会議でとても素敵な女性に出逢った。花柱の胡蝶カナエさんだ。
柱に成る前から、時たま蝶屋敷でお世話になったのたが、矢張りとても美しい。
私と心中するにぴったりの女性だ!
姐さん、今日も花の様に美しい。空は青く澄んでいて絶好の心中日和だね。
あ、駄目?
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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時