壱 ページ1
*
私は太宰、太宰Aだ。
非常に突然だが、私は転生した。
躯はまるで幼子の様に小さく、とても動かし
全く、
時代まで遡っている。
しかし、時代や世界の相違は有ろうが無かろうが、私には至極関係が無い。
何時でも、自身の生きる意味を探す。
やることは其れだけである。
勿論、自害行為も忘れずに……___。
* * *
「おや、また父親に殴られたのかい?」
此の世に生を受けて約十年。
大正の生活にも大分慣れ、所謂“友人”と云うのも出来た。
其れが現在話し掛けている彼。
「……まァな」
目付きは多少なりとも悪いが、家族思いの優しい少年、不死川実弥君。
実の父親に虐待を受けているそうだ。
其の父親、此処でも悪い噂ばかりの男で、町中の者から恨まれている。
「Aの母親はどうだ?」
「うん、駄目だねぇ。宗教に悪く影響されてしまっている」
「そうか」
私には父親が居なかった。
生まれた時から母親と二人きりだったのだが、或る日母親が宗教に嵌り、それから狂った家庭に成り下がってしまった。
母親は朝から晩まで“教祖様”の処へ行っているし、帰ってきたと思えば私に中身の無い教えを説き始める。
何か特別な事が有れば宗教のお陰だと泣き喜ぶ。
其れだけならまだ良いのだが、困った事に私の生き甲斐とも云える自害行為は頑なに阻止しようとするのだ。
疲れてしまう。
「……何かあったら俺に言えよ」
「うふふ、君は優しいねぇ」
「うるせぇ」
「あはは、怖い怖い」
矢張り、彼は優しい。
赤面顔で睨まれても面白いだけだよ。
……蛞蝓みたいだ、と思った事が過去に在ったが、訂正したい。
彼は彼自身の特別な性格で、誰とも比べられないし、重ねられない。
私とは違い、とても美しい心の持ち主。
「では、私はもう行くよ。実弥さん」
「いつも呼び捨てでいいって言ってるだろ、A。……じゃあな」
彼は私の一つ上なので、一応敬意を払ってさん付けなのだが、彼自身はどうも気に入らないらしい。さん付けする度の反応が面白いから余計に辞められない、とは云えない。
彼とは此処で別れ、夕餉の材料を買いに足を運んだ。
空は少しずつ夕闇に染まって行き、屋敷に戻る頃には一番星が輝いていた。
「……頂きます」
そう独りで呟いた。
*
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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時