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「 ルルフ、おまえ呼ばれてるぞ」
教室に戻って早々に誰だ俺を呼び出したのは。
俺は今腹が減ってるんだ飯ぐらい食わせろ、噛むぞ。
手当もせずに放置した首がジクリジクリと痛むせいか、やたらと首を触ってしまうのは不本意。
元の姿なら鱗が硬いから早々に傷なんて付かないのに……。
「 ルルフくーん、ちょっといいっスか」
「 誰だこのチビ」
「 ちょっ!! 確かに俺は小さいっスけど、そこまでルルフ君と変わらないっスよ!」
頭に生えている耳が下がったり上がったり騒がしいな。
また毛玉か……サバナクローの奴ら、そろそろ俺に付きまとうの辞めろよ面倒くせぇ。
「 おまえらさっきからなんなんだよ……俺と話す時は餞別として食い物もってこい。じゃあな」
「 うぇ? さっきから……?って、ちょ、ルルフ君まって欲しいッス!」
教室に入ろうとした俺の腕を掴んで引き止められた。 チビのくせに意外と力があるやつ。腹が減ってイライラするから睨みを利かせて舌打ちをすると、大きな耳がまた下がった。
腕を振り払えば、呆気なく離されて。 席に座る前に一瞥すると既にソイツは居なくなっていて、大した用事で無かったのだと自己解決。
「 Aさん。 ラギーさんと何をお話に?」
「 食い物ないと話さねえって言ったらどっか行った。 今日は散々だな、毛玉に囲まれまくって」
「 囲まれて……?」
「 なんでもない。 ジェイド、パンくれ」
時々饒舌になると余計なことまで話すのはなんとかならないものか。 察しのいいジェイドのことだ、俺のうっかり口を滑らせた発言の意味を悟るのにそう時間はかからない。
「 ……そうですか」
ほっと胸を撫で下ろす。 質問攻めにはあわないで済むらしい。
それにしても最近は知らない奴がやたらと絡んできて面倒くさい、顔も名前も、覚えてなんていないけど。
「 今日の日替わり定食なんだろうなジェイド」
「 唐揚げ定食、だった気がします」
「 じゃあ今日はソレだな。 あーあ、一限終わる事にご飯タイムとかあればいいのにな」
「 そんなに食べてたら流石に病気になると思いますが」
……彼女はどうやら僕に触れられたくない話題がある様子。ならば敢えて触れようとは思いませんが、隠そうとすればする程ボロが出るというもの。
教室に戻ってきてから、やたら首のチョーカーを触っているのが現実で、きっと答えなのでしょう。
「 困ったものです」
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愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
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