【文スト】一般人の中原です その二

弟が小さくなる話 ページ46

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俺が寝ていると、誰かがゆさゆさ揺らして来る。









『にいちゃーん』





「……んっ……Aか？」









どうした、と顔を向けると、俺と同じ赤毛がぼんやり見えた。

ぼやけた視界が次第にはっきりして来て、弟の顔が見えた。









『にいちゃーん』





「……は？」









ベッドの脇に、幼い弟の顔が覗いていた。









「はぁっ！？」





『っ！』









バッと飛び起きると、Aは驚いてぺたんと床に座り込んだ。









「お、お前、それ……」





『……うっ』









Aはぶかぶかのパジャマをぎゅっと握って涙ぐむ。









「……おい待て、A？」





『うわあああああああっ！』









大声で泣きだした幼い弟に、俺は頭を抱えた。









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テレビの前に座って、ウサギやクマの着ぐるみが躍る姿に釘付けになっている弟。

それをチラッと見て、俺は深く溜息を吐いた。

漸く泣き止んでくれた。

危うく騒ぎを聞き付けたご近所に通報されるところだった。









Aがこんな状態になった原因は、すぐに分かった。

それは冷蔵庫に貼ってあったメモ書きによって判明した。









――【梶井さんから貰った檸檬パイがあるよ。あとは兄さんの分】









以前にも梶井の作った薬で女体化し、挙句に幼女化したではないか。

我が弟ながら、何故こんなにも警戒心がないのか。





あと、梶井殺す。





今度は幼児化、しかも記憶も後退してしまっている。









『にいちゃん、くまー』





「あぁ、くまだなぁ……」









かろうじて、俺の事を兄だと認識はしている様だが。





さて、どうするか。

タイミングの悪い事に、今日は外せない会議があった。

こんな状態のAを一人家に置いて行くことなど出来ない。



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